自民党の税制調査会で、軽減税率を巡る公明党との協議が決着して、生鮮食品と加工食品については10%の増税時においても現行の8%に据え置くとのこと。
税金はこと上げるとなるとそれを喜ぶ人はいるはずもないのですが、このままの負担率で将来どうなるのかと考えると将来が不安でもあります。
ところでお金を払うときの感情について、以前掛川の榛村元市長さんから教わったことを思い出しました。
榛村元市長さんは言葉を操ることに長けた方で、実に面白くて印象的な表現を用いる方でした。そしてお金の払う感情には五つの段階があるとおっしゃいました。
五段階はいわゆる"オノマトペ"と呼ばれる擬音語、擬態語、擬声語で、「いそいそ」「ほのぼの」「しみじみ」「しぶしぶ」「ぷりぷり」という段階があるというのです。
「いそいそ払う」というのは早く払いたくて仕方がないという状況のことです。観たい映画のチケットを買うための列に並んでいる人は皆、とにかく早く払って中に入りたいことでしょう。これは払いたいお金です。
続く、「ほのぼの払う」というのは、私の様な爺さんが孫にプレゼントをするようなときの感情。孫の喜ぶ顔が見られるならお金は喜んで出したくなるものです。
次の「しみじみ払う」のは好きな人と一緒とする美味しい会食の代金を払う感じでしょうか。お金に見合った対価が得られたようなものです。
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さて、「しぶしぶ渋々払う」となると、そろそろ不満の感情が含まれてきます。払わなくてはいけないと分かっているけれどどこか面白くない、という状況です。同じ会食でも美味しくなかったらそんな感情になりそうですね。
そして最後の『ぷりぷり払う』になると、お金を出すのが嫌で取られるのが悔しくてたまらないというもの。交通違反の罰金なんかもそうですよ。スピード違反にはくれぐれも気を付けてくださいね。
税金なども取り方の巧拙があって、何かに紛れると案外マイナスの感情は湧かないのですが、いざ「さあ税金を払え」と額を示されるととたんにむかっ腹がたつ、ということになりそうです。
いかがでしょう。お金を払うこと一つでも、喜んで払うときがあれば、むかっ腹を立てて叩きつけたくなるようなときもあります。同じお金なのにです。なんとも上手な表現だと思いませんか。
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さて私自身、個人的には軽減税率を取ると、お金持ちでも払わなくて済んでしまうので、消費税は一律にして困窮者に対して付加給付を行うという方がより困った人たちへの救済になると思います。
税を一時預かる事業者にとってもその方が混乱が少なくて世の中の苦労は少ないように思うのですが、政治の流れというのは難しいものですね。
商店経営者の皆さんには、渋々お金を払うお客様を少しでもしみじみ払うお客に変えるような工夫をしてみてはいかがでしょうか。
ちょっとしたことですが、お客様には喜んで帰っていただきましょうよ。