北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

俺、ふるさと納税やめとくわ

2015-12-15 23:10:00 | Weblog

 先日東京在住の女性コンサルタント(既婚)の方と話をしていて、「ふるさと納税」の話になりました。

 好きな自治体に対して寄付をすることができてお礼がもらえるということが大いに喧伝されて、利用者も多いのではないでしょうか。

 好きな自治体への寄付は別に自由に行えば良いのですが、このふるさと納税のメリットは、自治体によっては還付率の高いお礼がもらえるという点で、このことを上手に使えばかなりの節約生活ができるということです。

 そのシステムは、たとえば一万円の寄付を五つの自治体に対して行えば、自己負担2千円を差し引いた4万8千円が所得税として支払っている所得税と住んでいる町に支払っている住民税から還付されるというもの。

 そして寄付のお礼たるや、各自治体が競って我が町自慢の産物を選べるようになっていてよりどりみどり。

 冒頭の女性コンサルタントの方は、「鍵は還付率ですよ、還付率!」と語気を強めます。

 還付率とは、寄付した額のどれだけがお礼として返ってくるかということ。一万円を寄付して5千円相当のお肉が送られてくれば、還付率は50%ということです。

 還付率が50%の自治体五カ所に一万円ずつ寄付をしてお礼をもらえば、自己負担分実質2千円で、2万5千円相当の産物がいただけるというのですから、使わない手はない、というのが鋭敏な主婦の感覚のようです。


           ◆ 


 寄付ができる額には収入に見合った限度額があるのですが、「限度額を考えながら、どこに寄付しようかと考えています」といいます。

「それに、元々は寄付をして所得税控除を受けようと思うと翌年の2月に確定申告をしないといけなかったのですが、今は確定申告がいらない『ふるさと納税ワンストップ特例制度』もできましたし、多くの自治体ではクレジットカードでの支払いもできるんですよ」
「国としてどんどん推奨しているって事なんですね」

「ふるさと納税のポータルサイトもあるんですよ、ご存じですか?」
「えー?知らないな」

「"さとふる"というキーワードで検索してみてください。『人気のお礼ランキング』とか、好きな自治体から探すとか、いろいろな情報が満載ですから」

 彼女の場合は、産地自慢の美味しいお米や肉、水産品などを目当てに自治体を選別しているそうで、壮大な地域間競争になっているのでした。


【ふるさと納税ポータルサイト『さとふる』】
 http://www.satofull.jp/


           ◆  


 しかし話を聞いているうちに、だんだん私自身は消極的になってきました。

「この手法って、寄付してもらおうという自治体や住民のまちづくりの努力やがんばりが報われるということじゃないですよね。何か釈然としないなあ」
「そんなことありませんよ!人気が出てたくさんの人がほしい、と思われるようなお礼の品を作り上げるところに努力とがんばりのポイントがあるのじゃないですか!」

 確かにそこは重要です。稚内市でも今年の11月から、ふるさと納税のお礼の品を充実させて、それは市のホームページでも紹介されています。

【稚内市のふるさと納税 お礼の品々】
 http://www.satofull.jp/city-wakkanai-hokkaido/
 


 三万円以上の寄付をしてくれたらなんと「最北海産物セット」がお礼としてもらえます。これはいい!


 しかし私は稚内市の住民なので、稚内市にふるさと納税をすることができません(笑)。

 おまけに、稚内に住んでいながら、他の自治体へふるさと納税するということは、お礼の品で美味しい思いをすることには繋がっても、結局我が町へ納めるべき税金が他の自治体へ流れて行くことを意味するのです。

 自分の住んでいる町から行政サービスを受けていながら、そこへ納めるべきものを他に流し、自分は恩恵を受ける、というのは自分の損得を超えて、何かが間違っているような気がしてきました。

 人口が一極集中している東京に暮らす人たちが、ふるさとへの貢献を果たしたり、結果としてお礼をもらう姿というのは、地方から見ると快哉を叫びたくなりますが、結局地方に住む私のような者が地方で暮らす人たちに奨励すべき話ではありません。

「結局待つだけなんだよなあ…」
「小松さん!そんなこと言っていちゃあダメですよ!お得なことには飛びつかないと!」

「いや…、少なくとも今稚内に住んでいるうちはやめておくよ。義理のある町の税金をいじめて自分が得をするというのは性に合わないよ」 


 ふるさと納税を心底喜べるのは、嫌いな町に住んでいるときなのかな。何かどこか間違っているような気がするなあ。

コメント
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