昨日稚内市議会の全員協議会が開催されて、その場で工藤市長から正式に来年度のサハリン定期フェリー航路の存続断念の考えが示されました。
今週になって新聞各紙がフェリー存続断念という予想記事を書き立てていましたが、関係者から正式にその遺志が示されたのは初めてです。
市長からの説明は議会全員協議会の場であったので、基本的には質疑はせず、議事録も残らないという方針説明飲みということ。
全員協議会はマスコミや一般市民にも公開されていたので我が職場からも傍聴に行き話を聞いてもらいました。
市長の説明としては、これまで使用していたフェリー船『アインス宗谷』をそのまま取得して、第三セクターで運営を行うことを予定していたこと。また船籍を外国へ変更し外国人船員を雇用することで経費を抑え、かつ今後旅客や道北を中心とした農産物の集荷を拡大させることで事業収支の確保も可能と判断していたとのことでした。
しかしながら、いざアインス宗谷に外航船籍としての「船級」を取ろうとすると、これが難しかったのだと。
多数の人命と貴重な財産を積込む船舶には航行の安全性が特に要求され,そのためあらゆる点で航海に適しているという保証を得るために、一定規模以上の外航船は船級協会というところの技術的な検査を受け,船級を取得しようとしました。
ところが、韓国でのフェリー事故の影響と、アインス宗谷は建造からすでに17年が経過している船であることから船級取得ができないということになりました。
その点が解決できない以上、これ以上の手続きの進展が望めず、この時点での運行断念という判断になったというのが市長の説明でした。
アインス宗谷は現在ハートランドフェリーさんの所有で、申し出があれば稚内市に優先的に売却するという約束でいたのですが、このことで市への売却もなくなりそう。
◆
今後について市長は「サハリン州との交流は稚内市にとって欠かせないことなので、今後もこの航路問題については人生を賭けて取り組んでいきたい」と決意のほどを述べられたそうです。
9月にサハリンへ行った旅行が最初で最後のアインス宗谷との旅となったということでしょうか。思い出がよみがえります。
今までの様な定期航路は当面無理としても、これからもサハリンとの交流、北海道の産物をサハリンへ運ぶ物流の可能性について見守っていきたいと思います。
サハリンをなんとか近づけたいですね。