去る12月10日は、日ロ両政府による「カニ密漁・密輸出防止協定」が発行されてから丸一年の節目の日でした。
この協定が発効されてからのロシアからの活ガニの輸入実績は一月からゼロ。
稚内税関支署の発表では、今年一月からこの十月までの稚内港での活ガニ輸入実績は、数量で672トン、金額で約10億円ほどだったそうで、十月までの実績の前年対比は、数量で18%、金額で26%と大きく落ち込みんでいます。
かつては活ガニを積んだロシア船が稚内港にわんさかと押し寄せて、カニの輸入でも潤ったのはもちろん、ロシア人船員が稚内市内で飲食や買い物をすることでも地域経済には大きく貢献してくれていたのですが、もはや昔日の姿となりました。
事情通によると、密漁を取り締まるようになった背景としては、カニを正規で輸出する分にはロシア政府として輸出税を課しており、それが密漁・密輸出では逃れられてしまうという危機感があること。
さらに、プーチン政権になってからは公務員への給料が上がりしっかりと祓われるようになったことから、取り締まる体制の規律が向上したということもあげられるのだそう。ロシア側もかなり本気のようです。
それにしても、密輸は取り締まられても正規に水揚げされたものを買うと言うことはできないものでしょうか。
これまた事情通の方に伺うと、「それらは韓国の船が高値で買って行っちゃうみたいですよ」とのこと。
聞けば、日本ではキロ1,500円くらいで買いたいところを、キロ2,700円で買って行ってしまうのだとか。
日本だけが割を食っている格好だとすると憤ってしまいます。
「そんなに高い値段で買って、どこで売るんですか?」
「中国ですよ」
「えー、日本の買値の二倍でも売れるのだと」
「中国の爆買いの延長ですね。この流れがある程度落ち着かないことには日本には回ってこないのじゃないでしょうか」
「でも年末年始のカニ需要ってあるでしょう」
「少しは入ると思いますが、安くはならないのではないでしょうか」
話を聞いているとさらに、対日本では密輸防止協定が発効したので日本側もきっちり取り締まっていますが、中国や韓国には今でも密輸のカニが出回っているという噂もあるのだとか。
カニ漁師さん達からは、一部の外国漁船が枝幸沖あたりのカニの漁場で密漁をしているのではないか、という不安と不満の声も聞こえてきました。
いずれにしても、稚内には活ガニがきわめて少なくなってしまった今日、稚内へ観光で来れば安くカニが食べられるという楽しみは果たせなくなってしまったようです。
これからはカニではなくて、タコしゃぶや宗谷牛などは新たな魅力を発信する必要があるかもしれません。
地域だけしか知らない美味いもので勝負しましょうよ。