北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

組織の中で、個人を見るか、全体を見るか

2016-01-10 23:45:56 | Weblog

 

 ある会社の人から相談でもないけれど、こう言われました。

「社員の中に、(あ、この人はこの分野は苦手だな)と思う仕事の領域がある人がいるんです。人とのコミュニケーションはやたら得意なのですが、ち密な資料作りができないとか、その逆に細かい資料作りは得意なんだけど人とのコミュニケーションが苦手とか。公務員の人って、そういう人はどうやってトレーニングするものなんでしょうか。はたまた、苦手はことはさせない、という職員管理なんてあるのでしょうかね」

「うーん、難しいですね。私のことで言うと今でこそ人に会うのが好きですが、昔は人見知りでしたしね。まあ習うより慣れろだったり、多くの職場を経験して苦い思いをしたり良き先輩や師匠に恵まれてここまで来た、という感じで、懇切丁寧なトレーニングを受けたということでもありませんしねえ」

「一つには苦手なことをさせない職場に専念させる、という、まあ良く言えば適材適所で得意なことで力を発揮してもらおう、という考え方ですよね。しかしその人の将来を考えると、いろいろな分野の仕事を経験して少し苦手と思っても努力と訓練でそれを乗り越えて成長してほしい、という親心というか、期待もあるわけです」
「わかります」

「しかし、いかにもその職場が苦手そうで辛そうにしているのを見ると、これ以上ストレスをかけて病気になられても困るしなあ、とも思うので、そのぎりぎりの加減に悩むんです」
「多分に個々人の能力や性格などに依るので、誰にも通じる答えってなさそうですよね。その人とマメに対話をして、『どうだ、大丈夫か?』って声をかけ、仕事の進捗状況をこまめにチェックするとかするのじゃないでしょうか」

「はあ…、しかし、忙しい職場でその人をトレーニングすることが仕事ではありませんし、こちらもその人だけにかかりきりになっているわけにもいきません。ある程度は自分の力で成長してほしいのですがねえ」


 人を育てるというのは難しいものです。

 わが職場も、特にかつてのように大勢から有望な人材を選抜していれば良かった時代ではなく、今は部下職員もどんどん少なくなり、一人一人がしっかりと能力を果たしてもらわなくてはなりません。

 長く部下をもたずにいた者などは若い部下に対してどう接してら良いかという訓練もしたことがないという笑えない状況でもあります。

 身につまされるような話でしたが、逆にもし自分がその特定の分野が苦手な職員だったら上司に「私はこれが苦手なのでこれはやらせないでください」と言えるだろうか、と自問してみると、それもできないような気がします。

 上司から「お前さんは、その分野から逃げるのか?」と言われそうでがまんしてしまいそうに思います。

 しかし組織全体としてみれば、一人一人のことも考えつつ組織全体のパフォーマンスが最大になっているか、という視点で見なくてはならないということもあるでしょう。

 個の課題と全体の課題のバランスをどうとるか。絶対の正解はなくて、それを絶妙に取回す力もまたある種の能力でありスキルです。いや職人芸と言ってよいのかもしれません。

 そしてその能力もまた教えることはできるのでしょうか。なるほど、これもまた"ある分野の仕事"の一つです。年齢や経験を積む中で、期待されることも変わってきますね。

 職場を同じくする人たちに、精一杯能力を発揮してもらうにはどうしたらよいでしょうか。組織マネジメントの永遠の課題です。
 
 

コメント
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