北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

スポーツのドラマ性とその奥にあるドラマ

2016-01-31 23:42:42 | Weblog

 昨夜はリオ五輪サッカーアジア予選の決勝の日韓戦に釘付けになりました。

 韓国に二点を先制されたときは(あー、今回もダメか…)と諦めかけましたが、後半に浅野選手が入ってから一気に雰囲気が変わり、一気に同点、そして逆転と、まあ夢のような試合運びでした。

 筋書きのないドラマのようなスポーツの展開には興奮しました。すばらしい!


 昨日のサッカーの決勝もBSで試合終了後のインタビューまで長々と中継を観ましたが、よく探せばBSには実に印象的なスポーツを題材にした番組があります。

 今日の夕方には再放送でしたが「スポーツ追体験ドキュメント」として剣道世界選手権の決勝で、日本対韓国の壮絶な試合を振り返る番組が放送されていました。

 こちらも十六回目の大会で十度目の決勝での対戦と言いますから、サッカーのみならずなにかにつけてライバルの国であることがよくわかります。

 この手の世界を相手にする国際試合では日本の常識が通じなくて、反則の概念なども異なることがよくあります。

 試合巧者とは、単に運動技能だけではなくて、そうしたルールの概念や審判の癖なども含めた全部を把握したものだということが良くわかります。

 「あのときの心境を教えてください」という、試合を振り返るドキュメンタリーでは演出が上手でドキドキしました。


       ◆ 


 夜の九時からは、「ぼくらはマンガで強くなった~~SPORTS×MANGA」と題して、小林まことさんの「柔道物語」と金メダリスト野村忠宏、そして古賀稔彦さんという三人の意外な交流が紹介されました。

 小林まことさんは、ご自身が弱い柔道部員だったという経験から、本格的な柔道マンガを描きたくなって「柔道物語」という漫画を描き始めました。

 最初は人気が出なかったそうですが、古賀稔彦さんから「ファンです、頑張ってください」という手紙をもらって、そこからいよいよ本格的な柔道マンガとして力が入ったのだそう。

 二人に交流があったなかで、小林先生は、古賀選手が普通は両手を使ってかける一本背負いを右手だけでかけて勝った試合を見たのだそう。

 小林さんは「普通一本背負いは、右手で相手の襟をつかんで、左手は相手の右の袖をつかみ、両手でかけるものなんです。ところが自分で撮影した試合のビデオを見ていると、(あれ?左手を使っていない。右手の襟だけで投げている)ということに気がついて「すごいな」と思ったんです」と語ります。

 そしてその技を柔道物語のなかで早速使い、主人公がその技で勝つという物語を描きました。

 ところがさらにその漫画を当時中学生だった野村選手が見ていて、(すごいな、こんなことができるんだろうか)と覚えていたのだそう。

 後に野村選手はアトランタオリンピックのある試合で、残り十五秒からその技を繰り出して一本背負いを決めて勝ちました。

 それを知らされた古賀選手はインタビューの中で、「じゃあ僕の技だとちゃんと言ってくれなくちゃ僕が目立たないね(笑)」と笑いましたが同時に、「しかし漫画の中の技を見て、すごいな、で終わらせずにそれができるのかどうかを練習して、いざというときに使えるようにしていた野村君もすごいということですよね」と語っていました。

 柔道の美しい技が、それを観ていた漫画家の漫画で描かれて、さらにそれを将来屈指の柔道家になる青年が見ていて、それが現実に実現する。

 スポーツと漫画の融合という興味深いテーマを実に上手に描いた番組に仕上げていました。

 若い人はテレビを観なくなった、とよく言われますが、感動させるような高い品質の番組を真面目に作っていれば、観る人は増えるんだと思います。

 スポーツに隠されたドラマを丹念に取材して紡ぎだす、そういう真面目さは視聴者に伝わるのだと思います。

 製品でも料理でも事務仕事でも、良いものを真面目につくれ、ってことですね。

 


【BS1 ぼくらはマンガで強くなった「柔道・野村"背負い"の秘密」】

 

コメント
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