仕事でときどき会話をするくらいの関係の方が、かつて松下電器産業に努めていたことを知りました。
結構なお年の方なので、「それでは松下幸之助さんの話を直接聞いたこともありますか?」と訊いてみたところ、「ありますよ、素晴らしい方でした」とのこと。
その方は、松下の金融部門にいたのだ、と言いますが、同じ立場の方約100人が年に一度集められて研修を行い、その中では故松下幸之助さんからの講話も聴いたことがあるそうです。
「ちょっとこれを見てください。私は松下を離れてもう20年になりますが、未だに何かに迷ったりしたときは、手帳に張ったこの言葉を見て初心に帰るようにしているんです」
そういって見せてくれたのは、松下翁の言葉を手帳に貼ったもので、「青春」というタイトルと共に、「青春とは心の若さである。新年んと希望にあふれ勇気にみちて日に新たな活動をつづけるかぎり青春は永遠にその人のものである」という言葉。
これは額に入れたものが各職場に一枚ずつ配布されていて、職場ではそれをオフィスの目立つところに飾っていて、いつでも見られるようにしていたのだそう。
「私の職場にもありましたが、どうしても譲ってほしい、という人がいてその方にあげてしまいました。世の中はいろいろ変化もありますが、その大元の根本原理はあまり変わりませんよね」
松下幸之助さんと言えば、報徳の考え方を会社の精神として生かした起業家として知られているところで、私も彼の本は何冊も読んだものです。
こんなに身近に、松下翁の直弟子がいたとは驚きでした。
心に筋の一本通った方だなあ、と思っていたのですが、そういうバックグラウンドがあったことを知って、さもありなんと思った次第。
経営という「経済」に、道徳という「心」を忘れてはいけませんね。
改めて松下翁の本が読みたくなりました。