新進作家・綿貫征四郎は、亡き友・高堂の生家に管理者の名目で住まわせてもらっている。
時折、高堂が掛け軸を通じて現れ、様々な話をしていくのにも慣れた。
今回は、人望(?)も厚い飼い犬のゴローが行方不明になって二か月も経つので、鈴鹿の山を、もう一人の友人・南川の意見も聞きつつ、探索することとなった。
途中、イワナの宿という立ち寄りたい場所もできつつ、様々な人々、生き物、河童、龍、霊などと交流を深め、宿や人家に泊めてもらいながら、ゴローを探しまわる。
中でも面白かったのは、綿貫が空気を吸うように受け入れた霊の存在を、南川は容易に受け入れられなかったところで、綿貫の非凡さをしみじみと感じました。
淡々としながらも、柔らかく優しい奇譚でした。
冬虫夏草 価格:¥ 1,620(税込) 発売日:2013-10-31 |