こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『最後のユニット』草上仁(「SFマガジン1990年7月号」収録)

2022-02-13 20:53:51 | 草上仁
 
放射能に汚染されてから何千年も経つ地球上で、人類はみな電子化され、たまに順番が回ってきた時に地上を歩けるユニットに乗り移り、街で様々な役柄になりきり楽しむ事ができるという暮らしが続いていた。

しかし今回、久しぶりに主人公がユニットに乗り繰り出した街には誰一人存在せず、閑散としていた。
以前の街には、ユニットばかりとはいえ多くの人々が賑わいを楽しみに来ていたはずなのに。
ただ、歩き続けているうちに商店の角で見つけたユニットは・・・。

核戦争後の地球でしょうか?
どんなにデジタル技術が進んでも、人類の滅びゆく過程の空虚さをひしひしと感じる厳しい物語でした。
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『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(上・下)アンディ・ウィアー

2022-02-13 20:15:11 | 読書感想
 
 

グレースが目覚めると、そこは白い部屋の中。
コンピュータに足し算などの質問をされ、気づくと口には酸素マスクがはまっており、管につながれ身体中電極だらけ。
自分自身が何者かも分からなかった。

少しずつ記憶と体力を取り戻し動けるようになると、ここが宇宙船の中で、彼を含め3人の科学者が、人類の滅びを阻止するためにタウ・セチ星系に向かう事になったのだと気づく。
ただ、彼以外の2人は昏睡に耐えられず亡くなっていた。

実は出発の原因は太陽のエネルギーの減少で、近いうちに氷河期が来て人類の半数以上が亡くなるという予測がされたのだ。
エネルギーの減少の原因は太陽に取りついた未知の微生物で、近傍の恒星のほとんどが同じように光量が減っていた。
地球人は唯一、光量つまりエネルギーが減っていないタウ星に、科学者を解決の糸口の発見に向かわせたのだ。

そんなグレースも仲間が亡くなり宇宙空間にひとりぼっち、かと思いきや、他星系から同じ現象の解決策をさがしに来た他星人とのファーストコンタクトまで体験する事となり、色々ともめながらも友人となり、協力して解決策を見つけ出すのだった。

ここまでは思いつく内容ではあります。
ただ、まさかあそこまでピンチに次ぐピンチがあり、そのあげくにああいう結末になろうとは、思いもしませんでした。
実にグレースらしいと言いますか、英雄にはなれないけど本当にいい人なんですよねえ。

そして、どうやら『火星の人(オデッセイ)』に続いて映画化されるようですよ。
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