こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『歌丸 極上人生』桂歌丸

2015-06-24 19:36:11 | 読書感想
歌丸さんは、横浜第一の廓・真金町で生まれ育ったそうですが、廓の平面図が載っていたり、映画での廓風景でマナーとしておかしかったこと、など興味深い話をしてくださっています。

まあ、それは置いておいて、中学三年生頃に古今亭今輔師匠に入門したものの、ちょっとしたきっかけで師匠の元を出てしまったことは意外でした。
笑点や落語会で拝見する歌丸さんは、温厚な感じがするものですから。
思ったより短気でいらっしゃるようです。
挫折して元には帰れないところを、桂米丸師匠が救ってくださったそうです。

元々、今輔師匠の元にいらしたので新作ばかりだったのが、今のように古典中心になった経緯も語っておられます。
もちろん、笑点にまつわる話も語ってくださっています。

平成十八年に、この本の旧版を出していらっしゃったようですが、編集なさった山本さんの仰るように、パート2、パート3を期待しています。
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『思い出のとき修理します2 明日を動かす歯車』谷瑞恵

2015-06-22 19:47:36 | 読書感想
仁科明里が飯田時計店の店主、修司と付き合いはじめて一月あまり、明里の異父妹、香奈が訪ねてきた。
たまたま留守だった明里を待っていた喫茶店で、似た立場の妹という人に、会ったこともない姉の形見の時計の修理預かり証を押し付けられたという。

果たして、その姉妹同士には何の縁も無かったのか?

姉妹だけでなく、夫婦や友人、時計がなければ関わる事のなかった他人同士まで、飯田時計店は関係を修復してしまいます。
とても素敵な物語ですが、神社の手伝いに来ている大学生という触れ込みの太一の正体が、ますます気になってきました。
3巻で明かされるのでしょうか?とても楽しみです。
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『太宰治の辞書』北村薫

2015-06-21 19:31:17 | 読書感想
春桜亭円紫シリーズの最新刊です。

あれから二十年以上の月日が経ち、主人公「私」も「みさき書房」という出版社の編集者になっています。

今回の謎は、座談会の三島由紀夫の発言と、太宰治の「女生徒」の元となった実在の有明淑の日記と、太宰治が辞書から引用した説明文が本当にあったのか、という三つです。

ほとんどの謎については「私」が文献などを調べることによって解き明かされます。
ただ、円紫さんが「私」の背中を押してくれる、と言う面では力になっているのかもしれません。

二十年の歳月は、こんなにも「私」と私を隔ててしまったのか、というのを感じています。
私は、「私」ほどには一つの作品を深く掘り下げることはしないでしょう。
ミステリを期待する人には、ちょっと物足りないかもしれません。
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『さよならは明日の約束』西澤保彦

2015-06-20 19:32:40 | 読書感想
エミールこと日柳永美は、私立<迫扇学園>高等部一年生。
ある日彼女は、祖母の蔵書の一冊に祖母も覚えが無い祖母名義のヒッチコック宛ての封筒がはさまれているのを見つけた。
中にはかつてのルームメイトによる二人の男性への告発状が入っていた。
ルームメイト・工富は、一体何をやらかしていたのか。

読書好きの人々、特にエミールが中心となって解き明かす四つの謎。
二話目からはクラスメイトの男の子・柚木崎渓も加わり、淡い恋も始まります。
二人が集うのは、ブックカフェ<ブック・ステアリング>
ありがちな万人受けするような本じゃなく、マニアックな蔵書が探求心をそそります。
本好きには、一層おすすめの本です。
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『ぱりぱり』瀧羽麻子

2015-06-19 19:25:41 | 読書感想
詩人のすみれは、マイペース。
人の思惑など考えたこともなく、ただ自分の興味のおもむくままに行動し、興味のあることへの集中力は人一倍。
問題はそれ故に周りが見えず、悪気なく人を傷つけたり迷子になったり、日常生活さえおぼつかないことだった。

そんなすみれの妹や担当編集者、隣人や恩師、元クラスメイトに母と、幼い頃から一応一人暮らしをしている現在までランダムに、彼女に対するみんなの気持ちが様々に描かれています。

すみれは単に、とことん自分の気持ちに正直で素直なだけなのかもしれませんが、みんながヤキモキしている時の彼女の心が知りたいと思いました。
何を考えているのでしょうね?
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