こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『大奥の座敷童子』堀川アサコ

2015-06-18 19:36:34 | 読書感想
野笛藩の財政はひっ迫し、その借財は百六十万両。
たとえるなら十六文のソバ、六億五千万杯に値するという。
そこで、城下一の美女・十四歳の今井一期に、かつて江戸城の大奥に行ってしまったという座敷童子を捜し出し、連れ戻せという密命が下った。

しかしイチゴこと一期は、お中臈・お志賀の方の部屋子になったものの、大奥の人々に秘密にする気はさらさらなく、公に捜しはじめた。
ただ大奥で見つかる妖めいたものは、宇治の間の泣きジジさまや春画を配って回るサダさんくらいなもので、肝心の座敷童子は影も形も見当たらない。
果たしてイチゴは座敷童子を見つけられるのか?

イチゴにかかると周りの人すべてが善人になるような気がします。
またイチゴには、なぜか動物が味方になってしまう力があるようですし、泣きジジさまやサダさんの正体も面白く、結末もハッピーエンドで、とても温かく幸せな気持ちになれました。
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『音楽嗜好症 脳神経科医と音楽に憑かれた人々』オリヴァー・サックス

2015-06-16 19:37:21 | 読書感想
雷に打たれ臨死体験をしたあと、音楽にのめり込みだした医師。
音楽によって痙攣を起こしていた音楽評論家。

他にも、音楽サヴァン症候群や30秒しか記憶がもたなくなった音楽家、失語症やトゥレット症候群、パーキンソン病などへの音楽の効果など、あらゆる音楽に関わる病や、音楽によって治らないまでも病が軽減することについて語られています。

厚いので読み通すのは大変ですが、面白いのでページをめくる手が止まりませんでした。
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『キャロリング』有川浩

2015-06-13 19:36:28 | 読書感想
大和俊介、三十二歳。
誘拐された少年を助けに行ったが、うっかり口を滑らせて絶体絶命のピンチ。
果たして・・・というところから物語は始まります。

大和の父親は、大和が幼い頃は母親に、ある程度大きくなると大和に暴力をふるうような男でした。
また少年・航平の両親は、今、離婚の危機にあります。

さらに、犯人たちの背景にまで言及して、有川さんは読者をどこに連れていくのかと思いきや、きれいにすべての伏線を収めて結末へと誘導してくださいました。

話の真っただ中にいるときは、とても辛かったのですが、きっとどこかに希望があると思わせてくださいました。
やはり、有川さんらしい物語でした。
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『何が困るかって』坂木司

2015-06-11 19:38:35 | 読書感想
多分、ミステリではない短編集です。
とはいえ、わりと色んな意味で怖い話がほとんどだと思います。
度合いは、かなり違いますが。

中でも私が特に気に入っているのは「勝負」「カフェの風景」「入眠」「ふうん」「洗面台」「何が困るかって」「リーフ」「仏さまの作り方」「神様の作り方」です。

一番は「勝負」で、その理由はバス通学・通勤をした方なら誰でも経験がありそうで、それでいてなかなか無い設定で、爽やかな結末がとても素敵に感じられたことです。

他の作品は、底意地の悪そうなのもありますので、その辺は覚悟(?)してお読みください。
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『イリーガル・エイリアン』ロバート・J・ソウヤー

2015-06-09 19:30:39 | 読書感想
地球にケンタウルス座アルファ星Aからトソク族という宇宙人がやってきた。
彼らの宇宙船は壊れており、修理するための技術は教えるので、直してもらいたいというのだ。

船員は、亡くなった一人を除くと七人。
一番下っ端のハスクが、人間たちとの交流が多かった。
ある日、そのハスクが殺人の嫌疑をかけられ、裁判が始まった。

果たして人を殺したのはハスク?それとも他のトソク人?もしくは人間の誰か?

まさか、この殺人事件にこのような裏があろうとは、思いもしませんでした。
さらに、このことをきっかけに、人類がこのような状態に置かれるとは、意表をつかれるにも程があります。

確かにこの物語は、非常に面白いです。
解説の北原尚彦さんによると、ソウヤー氏の他の作品もこれにひけをとらない面白さだというではありませんか。
これは、図書館の蔵書をチェックしなくてはいけませんね。
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