こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『NNNからの使者 猫だけが知っている』矢崎存美

2017-10-22 19:22:26 | 読書感想
ネット上の都市伝説NNN(ねこねこネットワーク)をヒントに(?)描かれた物語です。

座っている姿が真ん丸で、色分けのはっきりした三毛猫のミケさんが、町のあちこちで、人に飼われたい猫と大事に飼ってくれそうな人の橋渡しをしていく・・・とまあ、大雑把に言えば、そんな話です。

中でも、第二話「かぎしっぽの幸せ」の嫌々塾の通う唯斗とかぎしっぽの交流と、第三話「カフェ・キャットニップ」で高齢のため、もう猫が飼えないんじゃないかと諦めかけていたたつ美と高齢猫を引き合わせた保護猫カフェ・キャットニップの物語が、特に好きです。

猫好きの方には特にお勧めですが、犬を飼いながら猫も好きな、私みたいな人も楽しめます。
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原安三郎コレクション 広重ビビット(後期)北九州市立美術館分館

2017-10-22 15:51:29 | 美術館・博物館
数日前、「広重ビビット」の後期の展示も見てきました。



ぶれてしまったので、チラシの方の写真も。



「六十余州名所図会」では、「駿河 美保のまつ原」が鮮やかでしたし、逆に、「武蔵 隅田川雪の朝」は静かでいいなと思いました。一方、「江戸 浅草市 後摺」を見ると、前期の「初刷」の艶やかさと素晴らしさには敵わないと感じました。
気になるのは、「美濃 養老乃瀧」や「下野 日光山裏見の瀧」が、木目が水の流れに見えるとはいえ、水しぶきが無いとイマイチ臨場感が無いと思える事でした。
そういう意味では、「阿波 鳴門の風波」は、迫力があって素晴らしいと感じました。

「名所江戸百景」では、「するかてふ」「神田紺屋町」「上野山内月のまつ」「堀切の花菖蒲」「王子装束ゑの木大晦日の狐火」あとは「浅草川山内の町詣」と「深川洲崎十万坪」でしょう。

広重以外の浮世絵もありまして、葛飾北斎の「富嶽三十六景 凱風快晴」と「諸国名橋奇覧 かめゐど天神たいこばし」とか、歌川国芳の「忠臣蔵十一段目 夜討乃図」がいいですね。

再び広重ですが、「東海道五拾三次 庄野 白雨」「阿波 鳴門乃風景」「十二か月風俗 十月(紅葉)」が好きです。

堪能できましたが、疲れました(苦笑)
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『オリンピックがやってきた 1964年北国の家族の物語』堀川アサコ

2017-10-21 19:46:11 | 読書感想
おトキは、今年で二十七歳になる独身女性。
青森のとある西洋館で、六十六歳になる西洋女性・奥さまと十六年間一緒に暮らし、家事を一手に引き受けている。

奥さまは、タロット占いが得意なのだが、なぜか病気の孫を連れて近所のお祖母さんが来たり、手紙を投函できないという青年がやってきたりするのである。

主に、この西洋館の住人と、お祖母さんのいる前田家、石郷岡印刷という会社を中心に話が進みます。
私としては、中でも、カラーテレビの来る日の喜びを描いた第二話と、トキさんが西洋館に来ることになった顛末の入った第四話、西洋館に泥棒の入った第六話が印象的でした。第五話の切なさも好きですけどね。

我が家でも、カラーテレビに買い替えた時の晴れやかな気持ちは覚えています。
まあ、私が生まれたのはオリンピックのあとで、カラーもずいぶん後でしたけどね。

脱線してしまいました(^^;)
あと、エピローグの民子の想いは、世界情勢の雲行きの怪しい今としては、切に願う状況でもあります。どうか、平和が続きますように。幸福でありますように。
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『100億人のヨリコさん』似鳥鶏

2017-10-17 19:34:55 | 読書感想
教育学部二年の貧乏大学生、小磯は、一年間限定の居心地のいい新生寮を引き払い、大学のサイトにも載らないほどのオンボロ・ワケアリ寮、富穣寮に引っ越した。何よりも、寮費が月、千三百円というのが大きかったのだ。

そこは、聞きしに勝るオンボロさと不気味さを併せ持ち、先輩たちによる歓迎会では、沼で釣って来たドジョウやフナ、得体のしれない茸による鍋と、十年物の消毒用エタノールで迎えられ、就寝後は、血まみれの女性の霊が天井に張り付いているという始末だった。

まあ、ジャンル分けするなら、ホラーコメディでしょうか?
小磯を始め富穣寮の連中は、色んな意味でサバイバル能力に長けた人々になっていますし、研究も始めていた事もあって、ああいう状況に陥っても対応できたのかもしれません。
ただねー、あの状況が日常になってしまった世界というのは・・・勘弁していただきたいです。
でも、とっても面白かったのは、確かです。
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『母の記憶に』ケン・リュウ

2017-10-15 19:36:52 | 読書感想
日本オリジナル版短篇集です。

家族を烏蘇里羆(ウスリーヒグマ)に殺された少年が、長じて復讐を誓う「烏蘇里羆」
揚州大虐殺において、31名の命だけでも救おうとした遊女「草を結びて環を銜えん」
遠い昔に滅びた星の文明の叙事詩の本来の姿とは?「重荷は常に汝とともに」
など、面白い話が目白押しです。

私が特に気に入っているのは「重荷は汝とともに」「存在」「シミュラクラ」「レギュラー」「ループのなかで」「パーフェクト・マッチ」「カサンドラ」「残されし者」「訴訟師と猿の王」「万味調和―軍神関羽のアメリカでの物語」です。
まあ、ほとんどの作品を気に入っている事が、お分かりいただけるのではないかと(照)

ところで、裏表紙のケン・リュウさんの写真。
何か、企んでいそうに見えますね。
きっと、今度はどんな物語で、読者をたぶらかしてやろうかと、お考えなのでしょう。
楽しみです。
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