こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『ありえないほどうるさいオルゴール店』瀧羽麻子

2018-11-14 19:34:02 | 読書感想
運河のある北の港町にあるオルゴール店には、通称ムカイさんという耳のいい店主がいて、客の心に流れる曲を聴きとってオルゴールのメロディにしてくれる。

初めに母親とやって来た少年は、生まれながらに耳が不自由だった。
それからも、近くの住人から遠方の観光客まで、様々な人物がやって来ては思いがけない曲に驚きつつも、それが良い方向に向かうきっかけになっていった。

私としては、大学の卒業旅行でやって来た少女たちが作り上げたオルゴールが、一番好きです。
次に好きなのが、ピアノのレッスンを続けるべきか悩む少女のものでしょうか?

あと、ムカイさん自身の人生の方向も暗示され、肝心のタイトルについても、よくよく読んでみると看板に偽りなしで、ニヤリとさせられて面白いです。
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絵本『はずかしがりやのきょうりゅうクランチ あいさつのえほん』作:シロッコ・ダンラップ 絵:グレッグ・ピゾーリ

2018-11-10 20:10:44 | 読書感想
はずかしがりやのきょうりゅうに、あいさつをして仲良くなろうという話・・・かな?
絵本なので、あっという間に読めてしまうのですが、どういう縁で早川書房で出版される事になったのか、その経緯が気になります。
「えがないえほん」が評判良くて、早川書房がやる気になったのでしょうか?

それはともかく、主人公がきょうりゅうだから、SFファンの両親が子どもにプレゼントするのにぴったりとも言えます。
私の子ども時代も恥ずかしがり屋だったので、クランチはとても身近に感じられます。
サブタイトルにもあるように、挨拶は人付き合いの基本なので、素直にお薦めします。
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『ショートショート美術館 名作絵画の光と闇』太田忠司 田丸雅智

2018-11-10 19:43:36 | 読書感想
同じ題材、今回は絵画をテーマに太田さんと田丸さんがショートショートを競作したのがこの一冊です。

ゴッホの「夜のカフェテラス」フランティシェク・クプカの「静寂の道」ムンクの「吸血鬼」など多彩な絵画から、お二人がどんなインスピレーションを得られたのか?
納得もあれば、意外な発想や展開に驚かされるものもあって、とても楽しめました。

私としては、太田さんでは「語らい」「収穫される者」「緋色の髪のマダム」「くるよ」「戦の始末」「転移狂詩曲」「夜の町」など、田丸さんでは「灯りのカフェ」「風神雷神コンテスト」「願いの蝶」「鉄の曲芸師」「球面の男」「導く者」などが、とても面白く感じられました。

また、名作絵画ショートショートコンテストでは、田辺ふみさんの「復元師」が好きだと思いました。
あと、同じ題材で田丸さんが書かれた「森の花火師」は、江坂遊さんの「花火」から来ているのではないかと感じました。

一つの題材で、ショートショート作家が競作するというものを、また、他の小説家の方々でやっていただきたいものです。
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絵本『すみっコぐらし そらいろのまいにち』よこみぞゆり

2018-11-09 19:56:16 | 読書感想
すみっコたちがどのような生い立ちで、どういう事情で集まって今があるのかが綴られた絵本です。

食いしんぼなねこや、きょうりゅうの子だと言えないとかげ、食べてもらいたいとんかつとえびふらいのしっぽ、寒がりのしろくまと自分探しをするぺんぎん?

どの子も愛らしく、いい子たちばかりです。
私のイチオシは、とかげですけどね♪
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『ドアを開けたら』大崎梢

2018-11-09 19:47:03 | 読書感想
鶴川佑作は、ある事情から今住むマンションから引っ越す予定で部屋の片づけをしていた。
すると、同じマンションに住む串本英司さんから借りていた雑誌が出てきたので、まだ九時過ぎだった事もあって返却に行ったところ、玄関のドアが開いており、串本さんは和室で倒れて死んでいるように見えた。

そこで119番なり110番なりに通報すれば良かったのに、佑作はそのまま立ち去ってしまった。
しかし、そこをスマホ動画として撮った者がいた。
それをきっかけに、佑作はマンションの住人の今まで見せなかった面を探る事になってしまった。
果たして串本さんは、死の間際に誰と会い、何をしていたのか?

初めは串本さんが殺人事件の被害者かと思いましたが、彼自身も生前妙な行動をしていたり、他の住人も怪しい言動をしたりと、読めば読むほど、誰も彼も疑わしく思えてきました。

それが何と、思いがけない人物が現れ、考えもつかない事件が目の前に現れてきます。

何とも鮮やかな手際の手品のようで、これだから良質のミステリをますます読みたくなるのです。
とても面白く騙されてしまいました。
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