興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

平清盛の実像は

2012-01-08 | 時には芸術気分

 

本を一冊ご紹介します。

『平清盛』 (三田村信行・著/ポプラ社・刊/定価:本体650円)

平清盛といえば、権勢におぼれ驕り高ぶった ‘悪人’ というイメージがとても強いのですが、本当にそうだったのでしょうか。

最近の研究では、清盛は、昔ながらの古い意識や慣習にしがみつく貴族社会に揺さぶりをかけ、宋(今の中国) との交易を拡大させるなど世界にも目を向けた、きわめて革新的な政治家であったことが明らかにされてきているといいます。

本書 『平清盛』  は、そのような新しい研究もふまえ、平安時代末期、平家一門を栄華の頂点にみちびき、政治の実権をにぎり、夢を抱きつつ歴史を大きく動かした平清盛の波乱の生涯をいきいきと描いています。

若い頃、瀬戸内海の海賊討伐に出た折の、若大将清盛の兵士たちに対する細かい心遣いなどを読むと、清盛に対する悪人イメージがいっぺんで吹き飛ぶに違いありません。


子供向けの本ではありますが、子供の本といって侮ることなかれ。 読んで面白いだけでなく、保元・平治の乱から壇ノ浦の合戦にいたるまでの、さまざまな出来事の背景と複雑な人物相関関係が大変よくわかります。

NHKの今年の大河ドラマは 「平清盛」。 本書が信頼のおける格好の解説書にもなること請け合いです。