prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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「猫に裁かれる人たち」

2010年05月23日 | 映画
猫に裁かれる人たち [DVD]

IVC,Ltd.(VC)(D)

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広尾のチェコ共和国大使館内にあるチェコセンターにて上映。
子役で出ているミハイル・ポスピーシル氏がなんとチェコセンター総裁になっていて、センター所長ペトル・ホリー氏が通訳を兼ねる司会のトークイベントに参加。
現在世界遺産になっているテルチの街で、なんと一年がかりで撮影されたとか、撮影中に当時のチェコ大統領が来て、主演の名優ヤン・ヴェリフに叙勲したといった裏話が飛び出す。この映画のあと、カレル・ゼマンの「盗まれた飛行船」にも出ていて、さらにプラハ大学の映画学科を出てドキュメンタリーの演出もしていたという。

サーカスの猫がサングラスを外して見つめると、偽善者は紫とか恋していると赤といった具合に、見られた人間がその本性に合わせた色に染まる特殊効果が見もの。
俳優が紫なり赤なりに顔を塗って色を統一した服を着て、さらにオプティカル処理を加えたらしい。今だったらデジタル処理で割と簡単にできるだろうが、アナログならではの手作り感、何か柔らかい画調が魅力。チェコ映画というと、こういう工芸品的な手間のかかった独特のファンタジーが有名。
もっとも、全体に話の運びがのろのろしていて、見せ場以外はかなりかったるい。

いかにも偽善者そのものの校長が紫に染まってとっちめられる場面がありそうでない。1963年の製作なので、1956年のスターリン批判と1968年のソ連侵攻(プラハの春)の間だから、かなり自由に製作できた時期のはずだが、ちょっと慎重になっている感もあり。
(☆☆☆)


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猫に裁かれる人たち(1963) - goo 映画