prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ウルフマン」

2010年05月17日 | 映画
ベニチオ・デル・トロの役名がローレンスなので、父親役のアンソニー・ホプキンスの前に出ると、ホプキンスの師匠にあたる世紀のシェークスピア俳優ローレンス・オリヴィエがちらつく。元のロン・チャニーjrのオリジナル版でも同じローレンスなのだから考えすぎではあるのだが。

オリヴィエはホプキンスを自分の後継者にしようと目していたのが、ホプキンスが舞台の世界からかなり安い通俗映画に行ってしまった(キャリアの初期はそうだったのですよ)のでひどくがっかりしたという。デル・トロの役がシェークスピア俳優で「ハムレット」をやっていて、父親もしきりとシェークスピアを暗誦するのが意味深。
放蕩息子の帰還、というモチーフが通底しているが、父の方がアブないのだね。「ハムレット」同様、ねじれたファザコン劇という意味合いがある。

原語でジプシーといっているのが放浪者だったかなんだったか、曖昧な訳をあてていた。その女占い師をやっているのがジェラルディン・チャップリン。まさかと思うような年の取り方だったが、間違いなく当人でした。

「ハウリング」からこっち、狼男の骨格が狼寄りになっていたのが、クラシックの人間に近い骨格に戻っている。

二頭の狼男が格闘するシーン、一頭にだけ服を着せて区別がつくようにしている。当たり前のことなのだが、最近はそれくらいの配慮もないことが多い。

シェリー・ジョンソンの銀残し風撮影が見事。
(☆☆☆★)


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