フィリップ・ノワレ扮する女房の尻に敷かれて一日あくせく働かされていた男が、交通事故で女房が亡くなってから怠け放題に怠ける。
食料の類の買出しは犬に任せて、一日ベッドに寝転んだまま紐でぶらさげたボトルやソーセージで食事を済ませ、やはり紐でぶら下げたチューバをときどき吹くという世にものんきな生活がフランスの田舎の風光明媚な風景をバックに描かれる。
もっとも、さすがに経済的な裏づけは考えていて、働いていた時に地主になっていて遊んで暮らせるという設定なのはリアルでもあるけど、ちと艶消しでもある。主人公があまりに怠けに怠けるので周囲が働けと迫るのだが、今の目で見ると周囲も十分のんきな働きっぷりで、映画自体ものんびりしすぎ。
前半の尻の敷かれ方といい、ラストのくくり方といい、かなり女性恐怖症的。
この映画のチラシを持っているが、「拝啓 遠藤周作センセイ」なんて書き出し。「ぐうたら生活入門」が出たのが1967年で、この映画の公開が1969年(製作は67年)、遠藤周作は今はマジメなカトリック作家の印象か強いと思うけれど、「ぐうたら」といえば遠藤周作という時期だったのだね。
(☆☆☆)