prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「春との旅」

2010年05月31日 | 映画
孫とここ五年間ずっと面倒みてもらっていた老人が、孫が給食係を勤めていた小学校が廃校になり職を失ったのをきっかけに、世話してもらえる相手を探して兄弟の間を渡り歩く。
「東京物語」か、その元ネタである「明日は来らず」を思わせるような話だが、子供の世代をあたまっから頼らず、自分同様に年をとっているはずの兄弟を巡る、というあたり、本気で面倒みてもらいたがっているのか、とも思える。
やたら偏屈で、自分から話をぶち壊したりいやにあっさり引き下がったりと、あきらめるためか、あるいは今のうちに会って一応けじめをつけておきたくて旅しているような気がしないでもない。

仲代達矢が適度に力が抜けていい感じ。
孫娘役の徳永えりが、背が低くてガニマタでどたどた歩くのが田舎っぽくていい。

望遠で狙った長まわしの多用に、ときどき極端なクロースアップがはさまる映像構成で、芝居はそれぞれ実力全開だが、正直リズムが鈍く、ややかったるいところあり。
淡島千影の旅館の女将をしている姉と話すシーンなど、壁が邪魔して仲代と徳永が全然見えない、という妙な撮り方をしている。
小林薫など引きのサイズだけなので、どこに出ているのかと思う。はっきり見えないから含みがあるというものでもないと思うのだが。
(☆☆☆★)


本ホームページ


春との旅 - goo 映画