prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「組織」

2012年10月02日 | 映画
1973年製作。実に40年近く前のアクションものだから、今のやたら派手なドンパチに馴れた目にはかったるくないか心配だったが、まったく飽きずに見通せた。細かいところがきちっと作られているのです。

冒頭、殺される男を見せないで、飼い犬や馬の反応で表現する暗示的効果。
殺し屋が仕事の前に電球をまわして消し、十字をきる。
返り討ちにした殺し屋の口を割らせるのに、頭皮を削ぐように銃弾を撃つ凄み。
ロバート・デュバルが敵のボスのロバート・ライアンと初めて会うシーンの馬の競りのリズミカルな掛け声と横移動撮影の効果。
クライマックスの殴りこみで、ライアンが隠していた銃の撃鉄を上げるのに音をたてないのにジョー・ドン・ベイカーの方は音をたてるコントラスト。
などなど。

70年代のアクションものはアメリカでも脇役にやたらお馴染みの顔が並ぶ。
エリシャ・クック・jr、リチャード・ジャッケル、ティモシー・ケリーなどなど。
ライアンはすでにガンが進行しているのを知った上で出演していたという。

シェリー・ノースが初登場するところで、柱に寄りかかるようにポーズをつけて曲線美を際立たせ、二度目の登場では風呂上りでバスローブ姿で髪を梳かしながら現れるという具合にやたら色っぽく見せて、ジョー・ドン・ベイカーを誘って断られると亭主に「あいつに襲われた」と言ってやっつけさせようとする性格の悪さ。カレン・ブラックの「ファイブ・イージー・ピーセス」に通じる、まったくいいことないのに男についていくしかない役どころとともに、今だったらミソジニー(女性嫌悪)と言われるだろう。

アーチー・ムーアという名前がタイトルに出てくるから、ボクサーのアーチー・ムーア(219戦 185勝 131KO 23敗 10引き分け 1無効試合)かと思って調べるとその通りなのにびっくり。これといった見せ場のない役だったが。

デュバルがバーで「アイリッシュ・ドリンク」と注文したらウイスキーが出てきます。デュバルの役名がマクリンというし、ボスの若い妻が赤毛の女で、どうもアイルランド系の犯罪社会の話ということらしい。

監督はジョン・フリン。パースを効かせた画面構成がシャープ。撮影はブルース・サーティース。残念ながらプリントが褪色しています。音楽はジェリー・フィールディング。沈黙の緊迫感を心得た音楽のつけ方。
(☆☆☆★★★)

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10月1日(月)のつぶやき

2012年10月02日 | Weblog


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