prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「フォロワーたち」(見てはいけない怖い話)

2012年10月11日 | シノプシス
小田 霊の言葉を受け取って筆記できると称する教祖
牧野 その補佐官 実務担当 インターネット中継・ツイッターほかを司る。
明石 霊言を求める依頼者
亡霊たち

いろいろな霊の言葉を受け取って伝えることができると称する小田という教祖がいた。
亡くなった母親の言葉を聴きたいという明石という女性の依頼を受けて、その母親の霊の言葉を聞かせるところをインターネットで中継し、同時に中継を見ている人たちのツイッターも受け付けることにしている。中継した映像は自分で管理できるよう、サーバは教団持ちにしている。

実はこのサーバが不思議なことに、ネット上に誰の管理にもならず、ぽかっと置かれているもので、断る必要も費用もかからないというものだった。ただ「A」とだけ呼ばれている。それをネットで見つけたのは小田の相棒で実務担当の牧野で、たまたま見つかった(何か導かれたようでもあったが)プロキシサーバみたいなものかと勝手に解釈し(事実、プロキシサーバを無料で使えることがある)使っていたのだった。

交霊会に先だって、小田はパソコン上の明石に関するデータファイルを読む。そこには彼女についての情報が集められており、そのうち母親関連のデータを頭に入れておいてあたかも母親でしか知らないことをしゃべるかのように見せかけて明石を信用させ、しかも中継を見ている信者やその予備軍の信仰を高めようというのだった。

明石の母親が取り憑いたふりをしている小田は、娘との思い出、苦労話、生きている時に一緒に海外旅行は香港にしか行けなかったこと心残りなことなどといった知識を小出しに話して、明石を感激させる。
話が細かいところに突っ込まれると、年のせいにしたり、死ぬと記憶が失われるといった言い訳をはさんで、巧みにかわす。

たちまち、ツイッターにはさまざまな反応が出てくる。揶揄するのもインチキよばわりするのも(事実インチキだが)あったが、その中にあった質問から適当なものをピックアップして明石に質問させてみても小田は当意即妙に答えを返してくる。明石はまた大勢が集まる有名人のツイッターに混ざって、宗教とは関係ないようなふりをして、リンクを張って宣伝にこれつとめる。
そして、公式サイトに導いて機関紙や書籍を売ったり、葬式を引き受けたりするといった実際的な商売につなげる仕掛けだ。

そればかりか、本来なら答えに窮するような細かい質問を明石が思い出したように浴びせても、不思議なことに小田があてずっぽうで答えたことが当たってしまう、といったことが一度ならず二度三度と続く。これは本当に小田が千里眼でも身につけたのかと牧野が逆に驚くような出来事だった。

だが、そのうちツイッターの中に妙な書き込みが見られるようになる。その書き込みが、小田の答えを先取りしているのだ。
すでに答えが用意されている事柄ならまだしも、ごまかした答えまで同じ内容が先回りして書き込まれている。
どうなっているんだ、と補佐官・実質このプロジェクトの司令塔である牧野はうろたえる。
その書き込みをしている人間の経歴を見ても、正体不明だ。
いったん始まってしまった以上、止めることはできない。
案の定「なんだ、おかしいぞ」「やらせじゃないか」「カンペがあるんだろう」といった書き込みが現れ出す。

牧野はブロックサインを出して、途中で交霊を打ち切ろうとする。しかし、いったん憑いた霊(?)は離れようとしない。打ち切ろうとしても、また勝手に「霊言」が口から飛び出てしまい、当人もびっくりするがツイッターの発言を後追いするのを止めることはできない。
そのうち、だんだん言うことが変になってきて、前にインチキな霊言にだまされて財産を巻き上げられた、などと言い出す。
なんだかおかしい、まずいと思った牧野は、ネット中継を中断する。

ところが、ツイッターの書き込みは止まらない。それも、中継が現に行われているのを見ながらリアルタイムで書き込んでいるような書きっぷりだ。小田・牧野・明石たちにこれから起こる出来事を予言しているようでもある。
いつのまにか、サーバが勝手に動いてアクセスをいくらでも受け付けているようだ。

牧野がアップされた動画をチェックしてみると、途中で打ち切った時間より、遥かに収録時間が長い。いや、見ているうちに長くなっている。おかしいぞと思って再現してみると、打ち切った後の、アップされていない、つまりあるはずのない場面が続いているではないか。そしてそこでは小田と牧野の旧悪が次々と、明石の母が喋っているという名目で小田の口から暴露されている。
それらのようすは全部映像も音も記録されていて動画の視聴者兼ツイッターのフォロワー筒抜けになっている。
しかも、画像はずっと先まで収録されていることになっている。早送りしてみると、まだ起こっていない出来事がアップされている。

さらに先を見てみると奇妙なことに、小田が何もない空間に向けてしゃべっているかのようなようすを見せている。
さらに見ているうちに、その「まだ起こっていない」映像に、明石が写っていないことに気付く。確かに、現実には明石は確かにその姿が見えるのに、「未来」の映像にはその姿は見えないのだ。
どうなっているのか不審がる小田と牧野に、明石はさっき言ったことはウソだと言う。というより一番肝心のことを言っていない、と。その態度は突然それまでの母親思いの情緒的なものとは一変した、奇妙に冷酷なものだった。

こいつは何者なのか。よく話し合ってみると、小田も牧野も、自分たちの信者だとそれまで何の疑いもなく信じていたが、いつどこで入信したのか、知らないのだ。「え、おまえが入信させたんじゃないのか」と言い合う。
明石についての「情報」はあらかた握っているつもりで、実は自分たちには明石直接関わる記憶がない。それなのに、パソコンに明石についての情報ファイルはある。

どうなっているのか、と牧野や小田は混乱する。
そこで、明石に関する情報を入れておいたパソコンのファイルをまた開く。すると、さっき見た時にはなかったデータが最後に挿入されている。いわく、小田と牧野に騙されて財産を巻き上げられた女性の娘、と。そして、その母親ま死後、後を追って自殺した、とも。

さらにファイルが自然増殖してきたので、開いてみる。
そうやってファイルの情報として挙げられていく人間たちの顔とプロフィールを見ているうちに、彼らは小田と牧野が騙して財産を巻き上げて死に追いやってきた犠牲者とその家族たちなのに、やっと二人は気付く。

さらに、ツイッターで未来(?)の出来事の書き込みをしているユーザー名は良く見るとacasickとある。アカシック? サーバの名は「A」だった。「A」とは「アカシック」の略だったのか。牧野はアカシック・レコードについて聞いたことがあるのを思い出し、ネットで検索すると、「人類が生まれる遥か以前から人類の遠い未来までの、地球に関わる生命体の全記録が詰まっている場所」とある(スピリチュアル系では有名で、本来「誰でもアクセスできるものとされている)。
とすると、そのレコードに載っている未来の出来事にアクセスできる何者かがツイッターを通じて未来の出来事を書き込んでいたということだ。

普段、オカルトをメシの種にしている癖に、小田と牧野は思いもかけない展開に呆然としてしまう。
さらに再生される「未来」の映像では、小田と牧野が、じたばた逃げ回ったあげく見えない元信者たちに殺されたのか、血反吐を吐いている。
それを見て、小田と牧野は浮き足だって逃げようとするが、はっとそれがすでに「放送」されているのに気付く。
ツイッターでは、その様子を「バカじゃないの」と揶揄する発言が相次ぎ、次々と書き込む人間が減っていく。
小田と牧野は信者たちに囲まれ、逃げまわったあげく、「予言」された通りに惨殺される。
<終>

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天皇の世紀 #7 #8

2012年10月11日 | テレビ
7 馬関の戦い

「優秀映画鑑賞会推薦」のタイトルが出るのが妙な感じ。
戦闘を見せるのに矢吹明彦のイラストを使う。検索かけてもあまり情報が出ないけれど、伊丹十三の「日本世間噺大系」の表紙を描いていた人かな。

長州藩主が「権謀を以って和を制する」と言っていたのが「信義を以って和を制する」ところりと代わるのに大笑い。
幕府もお粗末だが、長州の上の方もお粗末。
高杉晋作を演じているのが岸田森。

編集中のムヴィオラを動かしたり止めたりしているのを撮影して、再現フィルムを操ってみせる手つきが今のビデオのようでおもしろい。

8 外国艦隊 大阪に出現

幕末に黒船が大阪に来たのを、番組制作当時に空母ミッドウェイが横須賀に入港したのに例えているのが、今だと奇妙に聞こえる。今、横須賀にアメリカの空母がいるのに抵抗感を持つ日本人、どれくらいいるだろうか。
伊丹十三が紋つき袴でちょんまげ姿で徳川慶喜に扮し、横須賀市議会席からいかにも型どおりの答弁をする皮肉。

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10月10日(水)のつぶやき

2012年10月11日 | 映画

テーマ曲だけ24時間繰り返しかけている有線放送があった #好きな映画を雑に紹介する


山中教授の研究員の九割が臨時雇いという雇用状態を改善したいという発言聞いて、宮崎駿みたいと思った。