主演のマーリー・マトリンは役もだが当人も本物の聾唖者で、映画デビュー作(舞台で同じ役をやっていた)の「小さき神の作りし子ら」(邦題の「愛は静けさの中に」というのはちょっとねえ)聾唖者役でオスカー主演女優賞を受賞したのだが、口のきけない(きかなくていい)役がそう続くものかなと思ったら、キャリア20年で出演作はテレビ含めて49作というから、完全な聾唖ではなく一応話せることは話せるのとはいえよく続くもの。
被告と弁護士が関係して犯罪を糊塗してしまうのは、職業倫理違反を通り越してそれ自体犯罪だろうけれど、ヒロインが美人でしかも障碍者というので踏み越えてしまうのは納得できる。意外な展開というのももちろんありますけれど、通してみると「白と黒のナイフ」と「氷の微笑」を少しづつ混ぜている観だが、一応見せます。
監督はシドニー・J・フューリー。初期のマイケル・ケインをスターにした「国際諜報局」の鈴木清順とも通じる色彩演出から後はまるで凡庸化した人で、これもどうということなし。画面が終始ぼうっとモヤがかかっているみたいなのも意図不明。
(☆☆★★★)
ダブル・トラップ 白い肌の迷宮- 映画.com
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