終末医療ドラマとすると、リビング・ウィルの手続きに手落ちがあるのははっきりしているので法律的な争点にはあまりならないだろう。
焦点を当てているのは法律の手続きや解釈からはこぼれてしまうニュアンスの部分で、それが典型的に出ているのは大沢たかお扮する検事が取り調べの内容をまとめてとうとうと調書を口述筆記させる場面で、しゃべっている内容を助手が書き取っているはずが、最初に出来ている文章を先回りして朗読しているとしか見えない、という転倒が起こっている。
(あと、同じ言葉を繰り返しているうちに意味が変質してしまう、というのは小津安二郎作品でもあったことだった。今の周防作品を小津と比較することはあまりないだろうが)
あらかじめ作文ができていて人間や現実の生の割り切れない部分をあたまから切り捨ててしまって、検察の都合のいい方に誘導するという構造がよくわかる。検察や警察といった司法の作文先行がまさにいま問題になっているわけで、どんぴしゃりのタイミングになった。
パンフレットに文章を寄せている山田太一に「ドラマというのは要約を嫌う人のためにあるのかもしれない」という言葉があるが、検事調書のあちこちで簡単にはしょられている部分に限って心情的には重要なのです。
心情面だけに限らず、ヒロインが医師としての複雑な所見を述べ始めると検事にイエスかノーか式の答えを要求されてそう答えざるをえなくなる。
ヒロインは東大出で、検事もたぶんそうだろう。検事も病気になったら医師にお任せにならざるをえないのだが、そういう本来権威を持つ相手(しかも女)を一方的に屈服させる快感を感じているのが見ていてわかる。
どういう経緯で告発されたのか、どうも病院内の誰かに刺されたのではないかと思わせるのがアノニマス(無名者)の悪意を感じさせて不気味。
長いこと介護している家族がくたびれて医者にお任せになってしまうというのはよくわかる。
役所広司の絶命のシーンの迫力は、ベルイマンの「叫びとささやき」以来といいたい。
話がそれるが、安らかに逝きたいと思っても体の方が抵抗してなかなか注文どおりにはいかないものらしい。アメリカの多くの州では注射で意識を失わせてから呼吸をとめる薬物を投与するという二段構えで死刑を執行しているのだが、実際にはかなりの苦痛を感じているのではないかという報告が最近上がっている。
ヒロインが初めの方で自殺未遂(というより苛立ちから酒と睡眠薬がなかなか効いてこないのでしらずしらずに大量に摂取)して、死ぬ苦しみを味わうのが、あとで患者の苦痛に対するシンパシーを持ってしまうわけで、しかもその苦痛を減らせたわけではないのが、医療の限界というか、人間の肉体=自然が常に認識を超えているあらわれでもある。
英語題はA Terminal Trust。日本題より語呂がいいくらい。
(☆☆☆★★★)
本ホームページ
終の信託 - goo 映画
公式サイト
焦点を当てているのは法律の手続きや解釈からはこぼれてしまうニュアンスの部分で、それが典型的に出ているのは大沢たかお扮する検事が取り調べの内容をまとめてとうとうと調書を口述筆記させる場面で、しゃべっている内容を助手が書き取っているはずが、最初に出来ている文章を先回りして朗読しているとしか見えない、という転倒が起こっている。
(あと、同じ言葉を繰り返しているうちに意味が変質してしまう、というのは小津安二郎作品でもあったことだった。今の周防作品を小津と比較することはあまりないだろうが)
あらかじめ作文ができていて人間や現実の生の割り切れない部分をあたまから切り捨ててしまって、検察の都合のいい方に誘導するという構造がよくわかる。検察や警察といった司法の作文先行がまさにいま問題になっているわけで、どんぴしゃりのタイミングになった。
パンフレットに文章を寄せている山田太一に「ドラマというのは要約を嫌う人のためにあるのかもしれない」という言葉があるが、検事調書のあちこちで簡単にはしょられている部分に限って心情的には重要なのです。
心情面だけに限らず、ヒロインが医師としての複雑な所見を述べ始めると検事にイエスかノーか式の答えを要求されてそう答えざるをえなくなる。
ヒロインは東大出で、検事もたぶんそうだろう。検事も病気になったら医師にお任せにならざるをえないのだが、そういう本来権威を持つ相手(しかも女)を一方的に屈服させる快感を感じているのが見ていてわかる。
どういう経緯で告発されたのか、どうも病院内の誰かに刺されたのではないかと思わせるのがアノニマス(無名者)の悪意を感じさせて不気味。
長いこと介護している家族がくたびれて医者にお任せになってしまうというのはよくわかる。
役所広司の絶命のシーンの迫力は、ベルイマンの「叫びとささやき」以来といいたい。
話がそれるが、安らかに逝きたいと思っても体の方が抵抗してなかなか注文どおりにはいかないものらしい。アメリカの多くの州では注射で意識を失わせてから呼吸をとめる薬物を投与するという二段構えで死刑を執行しているのだが、実際にはかなりの苦痛を感じているのではないかという報告が最近上がっている。
ヒロインが初めの方で自殺未遂(というより苛立ちから酒と睡眠薬がなかなか効いてこないのでしらずしらずに大量に摂取)して、死ぬ苦しみを味わうのが、あとで患者の苦痛に対するシンパシーを持ってしまうわけで、しかもその苦痛を減らせたわけではないのが、医療の限界というか、人間の肉体=自然が常に認識を超えているあらわれでもある。
英語題はA Terminal Trust。日本題より語呂がいいくらい。
(☆☆☆★★★)
本ホームページ
終の信託 - goo 映画
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#tx_kodokugurume このドラマはオンタイムで腹を減らして見てしまう。
#tx_kodokugurume ゴローさんだと焼肉とビールという黄金の組み合わせができないんだな。痛風に気をつけてね。
三週間で辞めた大臣の報酬ってどんな計算になるの? 日割り計算になるの、月額年額全部出るの?
「アウトレイジ ビヨンド」ふつうに二匹目のドジョウでした。 goo.gl/VdOYV
【本棚登録】『会話の日本語読本 (文春新書)』鴨下 信一 booklog.jp/item/1/4166603…
“@amneris84: (゜Д゜) "@petbin: 次の都知事が誰なのかの方が恐くて石原知事辞任なんてどうでもいい感じです。なにしろ前回立候補してたのがワタミ社長とそのまんま東で…"”
映画予告60本を“イッキ見”大槻ケンヂのオススメは? #映画 #eiga eiga.com/l/Fybrf 一番オススメしていたのは、銀座シネパトスでした。パトスの支配人も来ていたらしい。大槻ケンジはこれまで六本木シネマズには来たことなかったとか。
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ios6にしてから、聞きたいポッドキャストのストリーミングに辿り着くまでがやたら面倒になった。