テレビ発なのだけれど、どこか東映の泥臭い体質が強い気がする。今回の主役(!)の伊丹刑事などATMの使い方がよくわからないなど、今どきいるかと思うようなアナログ人間。
車の上を走るといった派手目のアクションもあるが、「SP」の岡田准一みたいに華麗にはいきません。
とはいえ、追っかけの粘りや札束が街中に降り注ぐシーンなどで劇場版なりのスケール感を出すべく力を入れてます。
木村佳乃や宇津井健や別所哲也が役とはいえ、ずいぶん悪相になったなあと思う。
金とは国家の信用がなければ紙切れにすぎないが、その日本という国家の信頼が揺らいでいるという認識(あるいは事実)を基本に置いていて、それがメジャーな娯楽作品で通用しているのだから、考えてみるとえらいことになっていると考えるべきか、娯楽にしてられるのだからノンキと考えるべきか。
いざとなったら国など捨てて省みないのは犯人だけでなく国家をハンドルしている連中でもある。それが当たり前という国など現実には珍しくない、そう思わないでいる国民のノンキさに対しても警鐘を鳴らしている。
フィルム撮りなのでしょうか、ずいぶん画面の質感がテレビと違う。模様のあるガラス越しに取調べを撮っていたカットでそのまま継ぎ目なしにガラスが消えてしまうといったデジタル処理でなければありえない、ロバート・ゼメキスばりの処理があります。
怒った伊丹が勘定を払わないで出て行ってしまう、という場面は昔の映画ではありがちだったけれど、ちゃんと支払いどうするのかという後の手当てをしていて、しかもX-DAYが来たらツケ(を含むあらゆる信用取引)などふっとんでしまうというモチーフに結びついているあたり目配りがきいている。
(☆☆☆★★)
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相棒シリーズ X DAY@Movie Walker
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