prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「MOTHER マザー」

2020年07月28日 | 映画
長澤まさみが自転車に乗って長い脚を強調してくる登場から5%増(当社比)という感じで役作りで身体を少し緩めたのかもだが、あれだけ荒れた生活していて髪の毛に白いものが混ざっても老けないというのもスター映画とリアリズムの折衷なのだろう。

よくある演技派転向とか汚れ役といった妙に行き過ぎるのを避けてエロくて綺麗なのとを混淆している。
これとコンフィデンスマンJPが並んで上映していて、どちらも客がきているのだから東宝としては育てがいがあったというか。

大森立嗣監督はデビュー作の「ゲルマニウムの夜」を博物館動物園駅の近くの仮設映画館一角座で見て、凄惨なリアリズムというかエクストリーム感に感心した一方でこの調子でずうっといくのは見る側もキツいぞと思ったら、「まほろ駅前」ものなどのバディもの、「日日是好日」みたいにとっつきやすい路線も混ぜていて、これもその際を狙った感じ。

正直、これ警察沙汰じゃね?と思うところがたびたびあるし、あそこまで公的支援が役に立たない(当人たちが介入を避けているにせよ)と思わされたら困るなと、社会問題を問うタイプの映画ではないのを承知で言いたくはある。

ブレイディみかこの著書でイギリスだと明らかに子供を育てる意欲や能力のない親からは強制的に子供ほ引き離すし、それが役所の職員の点数になったりするというのを聞いていて、それはそれで行き過ぎな感じはするが、少し視野を狭く区切りすぎているとは思う。

母と息子の共依存というのはそれ自体突き詰めるにはややありふれ過ぎていて、その先を見たいと思う。

大きなお世話だが、大森監督(と、大森南朋)の母親って麿赤兒夫人なのだから、どんな人なのだろう。