英文学の古典、チャールズ・ディケンズの「デヴィッド・コッパーフィールド」の映画化だが、原作は文庫本で四巻前後にも及ぶ長大なもので、これをどう二時間にまとめたかというと、冒頭デヴィッドが大勢の観客の前で物語作者と主人公を兼ねた存在としてお話を語りだし、さらに大人のデヴィッドが生まれたばかりの自分自身を見迎えるなど、通常のストーリーテリングではない一種のメタ構造を持ちこんで思い切った再構成をしている。
デヴィッドをインド系のデブ・パテルが演じる他、人種が多岐にわたって有色人種がかなり混ざっているあたり、何か現代の舞台演出に近い自在さはあるが、あまりに恣意的にやりすぎてとりとめのない感じにもなっている。