prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「動乱」

2021年02月17日 | 映画
見たつもりになっていて、実は見ていなかった映画のひとつ。

公開当時、日本アカデミー賞は受賞していても(だから?)、批評家筋の評価はぱっとしなかったと思う。
で、失礼ながらあまり期待しないで見たらまず高倉健・吉永小百合主演のスター映画兼歴史メロドラマ大作として一応成立していて、あれこれ言おうとすればできるけれど、この手の大作すら今では作られないせいもあって、意外と見ていられた。
というか、ますます個人の小状況と国や世界の大状況とをクロスさせる作劇は遠ざかっている。
五社英雄の「226」も青年将校たちの家族の絡ませ方がおよそ不細工だった。

5.15から2.26にかけての現代史劇としては単純化しすぎ、には違いないが、今これを見てしたり顔で史実を無視しすぎといったしたり顔の評が散見するのが逆に歴史の連続性が忘れられているのを証明している格好。

製作は先日物故した岡田裕介。
作品歴を見ると本当に吉永小百合が好きなのが一目瞭然で、ここまでわかりやすくなくても良い気がする。
というか、取り巻きが大事にし過ぎてイメージを妙にズレたまま固めた感。

監督は森谷司郎。同じ1980年に師匠の黒澤明が「影武者」を発表している。
ともに志村喬が出ています。
初期は青春ものの小品が多かったのが「日本沈没」の大ヒット以来大作が続いて今一つ骨格が弱いまま早世したのに、なんだか微妙な気分になる。