タイトルになっている“樹海村”とは、むかし樹海の奥に捨て去された身体的精神的障害を持った者たちの生き残りが作って、さらに最近では自殺を企てた者が紛れ込む村と想定されている。
この想定は刺激的なのだが、かなり不思議なのは後者の自殺志願者の存在がほとんど無視されていることで、もともと樹海は自殺の名所として有名になったのではなかったか。
あと樹海を舞台にしてストーリーを作る時におそらくハードルになったのではないかと思えるのは、樹海は紛れ込んだら方向がわからなくなりコンパスも使えないので出られないという伝説があって、つまり樹海の中と外とは切り離されていて行き来するのが難しいということ。
おかげで、というべきかせっかく想定した村をほとんど具体的に描かれないで終わっていて、漠然とおどろおどろしいヴィジュアル以上のものはない。
ストーリーとすると、その樹海村からどうやってか脱出できた幼い姉妹を設定して、成長したその姉妹が再び村から持ち出された箱(コトリバコという2ch発祥の箱がもとらしい)に関わるうちにまた村に引き戻されることになるのだが、実をいうとそういう話らしいと目鼻がつくのはほとんど終盤もクライマックスあたりで、そこにいくまでがひどく回りくどく、単発的なショックシーンは散りばめられているのだが、正直かなりダレる。
ショックシーンのかなりの部分を幻想シーンが占めているのだが、そうするとなんだ本当にあったんじゃないんだ、と白けることも増える。
実は出だしでひっかかった。樹海からネットで生中継しているところにコメントがつく番組から始まるのだが、ということは、樹海の中ではネットが使えるということで、あまり外界と隔絶していない感じになってしまう。
あと姉妹(山田杏奴、山口まゆ)があまり馴染みのないもので、時々どっちがどっちだかわからなくなって困った。髪型くらいはっきり区別した方がよくないか。
村の住人が疎外された者として樹海を自殺しに訪れる者と共鳴するようなところがあってよさそうだけれど特にそうでもなく、ほとんどただのゾンビと変わるところがない。
VFXはかなり良くできていた。
映画の内容とは関係ないが、製作委員会に全日本プロレスが入っているのには驚いた。