旧ソ連から亡命した不世出の名バレエ・ダンサーのルドルフ・ヌレエフの伝記映画。監督がレイフ・ファインズというのが意外でもあるが、ヌレエフの世話係として出演もしている。
エンドタイトルで本物のヌレエフの踊りの実写が出て来るわけだが、再現不可能なだけに本物を出さないわけにはいかないのだが、その分本物が出ていなかったのが改めてわかってしまうのは痛し痒し。
やはり不世出と言われるダンサーで現役のセルゲイ・ポルーニンが出ていて、踊りの技量だったらもっと再現度が高くなったかもしれないが(持ち味は全然違うだろうが)のだが、容貌が全然似ていないからパスされたらしい。
ヌレエフに韃靼人の血が入っているのは、少数民族としてソ連社会での処遇にも結びついているということだろう。
ヌレエフの異常なまでのプライドの高さと、なんでも社会主義の手柄にしたがるソ連の上層部との衝突はよくあるモチーフではあるけれど、やはり引き込まれる。
科学者に比べるとダンサーはやや監視が弱かったというあたり描き込みが細かい。亡命しようとした時の引き止め方の強引さなどぞっとさせられる。
タルコフスキーの当局との確執がドラマになると聞いたことがあるけれど、実現したのだろうか。