prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「マーメイド・イン・パリ」

2021年02月20日 | 映画
原題はUne Sirene de Paris、パリのセイレーンつまり歌で人を惑わし死に招く怪物あるいは妖怪で、古代では「デビルマン」のシレーヌのように半分人で半分鳥だったのが、中世から半分魚になったという。

映画では姿は完全にマーメイドにしているが、歌で死に導くという設定も入っていて、そこが珍しくもあるけれど、「スプラッシュ」調のラブロマンス仕立てとしては人が死ぬとなるとどうも座りが悪い。

ストーリー展開とすると人魚を川のほとりで拾った男が恋に落ちて結局海に戻さないといけないという人魚ものロマンスのパターンは守っていて、その分ストーリー上の綾とか枷が機能していないのが目立つ。

人魚をバスタブに入れっぱなしにしていては動きがとれないし、火事を起こして消防隊が来る騒ぎになっても見つかってどうにかなるといった展開を見せるわけではないのでダレる。

男の部屋にあるテレビは日本製なのだが、同時に置かれているのがLPレコードだったりVHSプレーヤーだったりするのだから中韓製家電が席巻している昨今ではもはやレトロ扱いということか。

エンドタイトルを見ていると-skiとか-kovといったロシア系か東欧系みたいな名前が目立つ。
フランス映画で特にスラブっぽさというのもないのだが、どういうわけだろう。

人魚役のマリリン・リマのコケティッシュな美しさが一番の魅力。

「アメリカの鱒釣り」という名のカクテルが出てくる。
リチャード・ブローティガンがどう関係あるのかわからないが、単に作り手が好きなのだろうか。