アメリカのインディペンデント映画作家、ケリー·ライカートの長編第二作。
妊娠中の妻がいる男が旧友と二人でドライブに出かけ、僻地の誰もいない温泉に浸かる、というお話とするとおそろしくシンプルなもの。
妻に断るのもおそるおそるという感じで、ジョン·ブアマンの「脱出」に出てきたようなすごい僻地っぷりと、家庭にいたくない男の感覚とがあれのマッチョっぷり(が途中で完全に無力になるのだが)とは正反対のおそるおそる感となんともいえない微妙な息苦しさが通奏低音になる。
冒頭のカーラジオの局にかけてくる聴取者の電話発言が共和党と民主党支持者の間の断絶分断を示す。
一方でアメリカの自然美もたっぷり見せる。
インディーズらしく、面白おかしいという作りではないのだが、妙に残るものはある。