prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「幸せをつかむ歌」

2016年12月09日 | 映画
父帰るならぬ母帰るといった話。夫と娘を置いて家を出て行って歌手になった(といってもそれだけで食べられるわけもなくスーパーでレジを打っている)メリル・ストリープが久しぶりに戻って娘が自殺未遂を起こしていたり結婚しかけていたりするのを知るわけで、深刻な状況だったりするのだけれど良くも悪くも大ざっぱであまり気に病まず笑えるように見せている。

息子がゲイというのは今風。中盤の世にも気まずい両家顔合わせの場面はジョナサン・デミ作品としては「レイチェルの結婚」以来の冴え。

娘役のエイミー・ガマーはストリープの実娘なのだそうだけれど、なんだかあまり歳が違わなく見える。

幸せをつかむ歌 公式ホームページ

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12月8日(木)のつぶやき

2016年12月09日 | Weblog

12月7日(水)のつぶやき

2016年12月08日 | Weblog

「10番街の殺人」

2016年12月07日 | 映画
実際にあった事件をなんと実際に事件があった場所でロケして撮ったというリチャード・フライシャーとしては「絞殺魔」と「見えない恐怖」の間に位置する日本劇場未公開作。

TSUTAYAの復刻ライブラリーの一本として出たのを見たわけだけれど、後味の悪さは「絞殺魔」に通じるものがある。
リチャード・アッテンボローの変質者演技が凄くてチビデブハゲを全部備えているので疑われそうなのを話術が巧みでいつのまにか騙されてしまう感じを見事に出していた。

冤罪を着せられる被害者の夫役のジョン・ハートがまた小心のくせにというかだからというか大口を叩きたがり、自分を信じられず墓穴を掘る役を演じてまた上手い。すごく若いのだけれど、若くても変に精気がないパーソナリティーは変わらず。

フライシャーの演出は技巧を目立たせないで見せることに徹し、リアリズムかと思っていると法廷で真犯人のアッテンボローがなぜか突然泣き出したりするといった奇矯な飛躍が入ってくる。
見れば興味深いけれど売りにくいので未公開になったというのもわからないではない。



12月6日(火)のつぶやき

2016年12月07日 | Weblog

「見えない恐怖」

2016年12月06日 | 映画
リチャード・フライシャーの今ではあまり見られなくなったクラフツマンシップ横溢の演出を楽しむ。一家皆殺しになっているのを盲目のヒロインが気づかずに通り過ぎてまわるあたりのカメラの置き方、人物配置、音楽を使わない処理などぞくぞくします。
風に吹かれて空の薬莢が転がるところだけ見せて撃たれているところは見せないなどの演出もじわじわくる。

台所で割れたガラス瓶の破片が散らばっているそばを裸足(足の感触を確かめやすくするためだろう)のヒロインが歩いて回るあたりのサスペンス、刺さる時のショックの作り方なども見事なもの。

全盲の女性が殺人鬼に狙われるという話は今はPC上難しいだろうし、ジプシー(字幕でもそう出る)の扱いも同様だろう、と余計なこと(失礼)を考えて見ていた。

ミア・ファローの目を開けたままの盲目演技は目が見えている時のとそれほど変わらないのが混ざる(特にラブシーン)けれど、あちこちぶつかるわ泥まみれになるわで相当サディスティックな気分になる。

出だしから星のマークがついた皮のブーツを履いた男の足のアップをずうっと追いかけて顔を見せない。「激突!」みたいに見せないで通すのかと思うとそこまで徹底はしていないのが中途半端だし、やっている役者からすると損な話。余談だが、ポール・ニコラスという犯人役の役者さん、「チェーンヒート」の監督と同姓同名なので同一人物かと思ったが違うみたい。

舞台になる屋敷がずいぶん大きい。ロケでまかなう(家の中から外を見通せる効果が大きい)関係上大きい必要があったのかも。撮影は「スター・ウォーズ」などのゲリー・フィッシャー。カメラの位置、動かし方がいちいち適格。
(☆☆☆★★)



12月5日(月)のつぶやき

2016年12月06日 | Weblog

「ガール・オン・ザ・トレイン」

2016年12月05日 | 映画
ヒロインのエミリー・ブラントがいつも乗っている列車の窓から傍らの家に住んでいる人たちの風景を見ながら空想を巡らせる、という出だしで「裏窓」の移動版かなと思ったら、その家に住んでいる人たちを元から知っている、どころか元夫とその後妻というのでちょっと戸惑った。まったく見ず知らずの人たちと関わっていくわけではなく、何も元夫たちの生活を見なくてもと思うしつい見てしまうという描き方でもない。

ヒロインがアルコール依存症でしばしば意識がとんでしまう、そのとぎれとぎれの記憶の間に何かとんでもないことをやらかしのではないか、と他人と共に自分も疑っていくわけだけれど、完全にヒロインがガイド役になるかというとそうでもなく、ヒロインが知っているわけのない失踪した女の行動が画面になって出てくるので、どうも視点がうまく整理されない。
時間が巻き戻ってからだんだん戻ってくるのを字幕で表わしているのだけれど、結構どっちが先でどっちが後だったか混乱する。凝っては思案に能わずって気もする。

ただアルコール依存症で自己評価がひどく低下しているのとフェミニズムとが結びついてきてラストでぴしっと全体の画が出来る(ご丁寧にそれを象徴する像まで出てくる)のはいい。

撮影が35mmフィルムなのだそうで、思い切ってボケ味を強く出しヒロインの混濁した意識に密着した処理が印象に残る。撮影はデンマーク出身のシャーロット・ブルース・クリステンセン。
(☆☆☆★)

ガール・オン・ザ・トレイン 公式ホームページ

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12月4日(日)のつぶやき

2016年12月05日 | Weblog

「インフェルノ」

2016年12月04日 | 映画
安定のシリーズ第三作。
謎解き、というよりは手品を見せてそそくさと種明かしをするような手順で、とにかく派手な画をぶつけておいて後は追跡の中でその由来を解き明かす、というより理屈をくっつけるやり方でとにかく見せきってしまう。

追っかけに次ぐ追っかけだから飽きている暇がないし、その背景でイタリアの有名な場所とあまり見られない場所の両方を見られるという寸法。それからペダンチック(学のありそう)な蘊蓄が散りばめられているけれど、これはボロが出ない程度にとどめる。
人が増えすぎているからウィルスをばら撒いて減らせばいい、という陰謀は中二病みたいで風呂敷がでかい割にホントに怖い感じはしない。

どう考えても壊してはマズいだろうという建物をぶっ壊すところもあって、どう作ったのか知らないけれどよく出来ています。さすがにこういうデカくて金のかかってしかも緻密なものができるのはハリウッド映画ではあります。
あそこまでチャカチャカしなくていいとは思うが。

「ローグ・ワン」が控えているヒロイン、フェリシティ・ジョーンズは美人で恰好いいけれど、前歯がのぞく口元が気になった。ちょっとシルビア・クリステルみたい。
(☆☆☆★)

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映画『インフェルノ』 - シネマトゥデイ

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12月3日(土)のつぶやき

2016年12月04日 | Weblog

「蜜のあわれ」

2016年12月03日 | 映画
金魚の役(⁉)ということもあって終始赤いひらひらの衣装を着ている二階堂ふみが可愛くセクシーでそれがほとんどすべてみたい。というか、小説家の妄想の具現化なのだからそうでないと土台成り立たない。

大杉漣は前に「不貞の季節」で団鬼六の分身の小説家をやったことがあり、今回は室生犀星のやはり分身の文豪役だが、偉そうなのと情けないのとスケベなのとが混ざっているのは一緒。
というか、「文豪」という今ではいないタイプの小説家のテイストが出ている。

やはり幽霊役で真木よう子や高良健吾(芥川龍之介!)が初め普通の人間かと思うような人間そのままの恰好で出てくる手法など、大仰でない作りのレトロで美的なファンタジー。
緩すぎの感がないではないが。

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映画『蜜のあわれ』 - シネマトゥデイ

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12月2日(金)のつぶやき

2016年12月03日 | Weblog

「殺されたミンジュ」

2016年12月02日 | 映画
いきなり拉致された男が拷問されやった悪行を書いて告白しろと命令される、という場面が続き、軍隊か秘密警察が市民を弾圧しているのかと思わせる絵面が続くが、その拷問している連中が犯行のたびに軍隊やヤクザなど恰好をいちいち変えるので、あれと思うことになる。

犯罪を行っても揉み消せるような社会の上層部でうまくやっている連中を拉致し、うっぷんを晴らしているということなのだが、見ていて「必殺!」みたいにはおよそすっきりはしない。
拷問そのものがやたらと生々しい(韓国映画で見せられるとごく近い過去の軍事政権時代の記憶とつながる感じになる)のと、告白を元に告発して社会的責任をとらせるといった「続き」がなくてあくまで閉塞したままということが大きい。
映画そのものの展開もあまりキム・ギドクらしい飛躍や驚きが乏しい感じなのは残念。

アメリカに留学して英語をごく流暢に操るが兄夫婦に養ってもらっていて日本でいうニート状態でいる青年など、これは憤懣も溜まるわと思わせる。もっとも日本だってそういう鬱憤は十分たまっているはずなのだが、もっと病的な噴出の仕方をしている。
(☆☆☆★)

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12月1日(木)のつぶやき

2016年12月02日 | Weblog