prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「虐殺器官」

2017年02月13日 | 映画
キャラクター・デザインが日本人の骨格ではなく西洋人のになっていて、舞台も世界各国でこれで吹き替えたら日本製とは思わないのではないか。
スマホで各種の言語に対応したサービスを受けられるのは現実化しているのを見ていると、世界市場を狙った作りなのかと思える。

製作中に製作母体のプロダクションが倒産したのを後を別のプロダクションが継いで完成したという、本来見る側にしてみれば関係ないといえばないが、アニメは世界展開できる可能性が見こせたから出来たのではないかと門外漢は考える。

特殊部隊の動きがモーションキャプチャを使っているというのはなるほどと思った。

子供まであっさり射殺してしまうところや、美女の目が撃ち抜かれて向こう側が見えるといった、様式化した画でクイックカットで処理しているとはいえ、相当にショッキング。

チェコの街並みのロケ効果が大きい。背景画とはいえ、相当に取材して描いていると思える。

人間に残虐行為をさせる要因が古代の生存競争していた時の名残りとして存在していて、それがコトバの中に言語の違いを超えて埋め込まれている、といった世界観は原作を読んでいなくてもある程度納得できる。
ただ、セリフで説明せざるをえないところで、もうひとつそういった要因が実際に残虐行為に結びつくのかといった肉体感は薄い。
(☆☆☆)

虐殺器官 公式ホームページ

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映画『虐殺器官』 - シネマトゥデイ



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2月12日(日)のつぶやき

2017年02月13日 | Weblog

「マグニフィセント・セブン」

2017年02月12日 | 映画
七人がさまざまな人種の混成部隊で互いの立場の違いからくる葛藤があったり女性が活躍するのも時代の変化を取り込んでいて、しかも全員恰好よく決めているところは古典的。
西部劇で南北戦争が絡むと大抵面白くなる、と言ったのは小林信彦だが(「シェーン」や「駅馬車」といった超大物がそうだ)、これもそうで、今でも内戦のわだかまりを引きずっているのだろうな。
クロースアップの多用や、ガトリング銃が出てくるところ、デンゼル・ワシントンが助っ人を引き受ける動機づけなどマカロニ・ウェスタン調。

中盤のアクションでは街を占拠していた悪者たちを追い出し、クライマックスの戦いでは攻めてくる軍勢を街を砦にして戦うという戦い方が、狭い場所で押し合いへし合いしていた原典とはいかにも対照的で土地の広さと銃の有効射程の差で見せ場を組み立てている。

冒頭で教会が焼かれるのが悪役の非道さを強く印象づけるとともに、その周辺で繰り広げられる戦いの中で各キャラクターの罪があがなわれるといったニュアンスを出した。

敵が資本力・政治力を盾に土地を買い占め街の住人を追い出そうとする権力悪になっているのは、「天国の門」で非難された要素を娯楽映画の枠にうまく収めた。

先住民を敵と味方の両方に割り振ったのはずいぶん気を使っている感じ。善玉がレッドハーベストとはなんという名前かと思うが、ダシール・ハメットの「血の収穫」の原題であり、黒澤明の「用心棒」の元でもある。弓矢を次々と射る姿がすこぶる恰好いい。

そういえば、スタローンがやったランボーは先住民の血が入っている設定だったはずで、二作目から弓矢を使うのも関係あるのかもしれない。
(☆☆☆★★)

マグニフィセント・セブン 公式ホームページ

映画『マグニフィセント・セブン』 - シネマトゥデイ

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2月11日(土)のつぶやき

2017年02月12日 | Weblog

「幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦」

2017年02月11日 | 映画
「幕が上がる」自体が素人である登場人物の女子高生とももクロが演劇と共に成長していくドキュメンタリーみたいな性格の映画なのだけれど、そのまたメイキングという、ほとんどメタ構造みたいな作り。

平田オリザのワークショップで同時にいろんなことをさせることでそれらをこなすことに集中させて逆に自然に振る舞わせるという方法を使うのが興味深い。ドキュメンタリー「演劇」で自家薬籠中の劇団員に対するのとはまるで違う接し方。

「幕が上がる」そのものの監督の本広克行はそれほど厳密に指導するわけでなく、ときどき話を聞いているところが入るのがお父さん的雰囲気。

「本物」の高校の演劇部員が出てくるとまたまったく雰囲気が違って高校野球の選手的なまなじりを決した感じ。

映画『幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦』 - シネマトゥデイ

幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦|映画情報のぴあ映画生活



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2月10日(金)のつぶやき

2017年02月11日 | Weblog

「イーストウッド 語られざる伝説」

2017年02月10日 | 映画
「許されざる者」のシナリオのデヴィッド・ウェッブ・ピーブルは映画化までイーストウッドが実際に歳をとるまでえんえん待たされ、その間書き直しもしたけれど、結局完成した映画を見たら変えていなかったと笑う。
いじりすぎて悪くなることあるんだ、というけれど、ほとんどワン・テイクでリハーサルもしない、基本いじりすぎないというのがイーストウッドの姿勢でもあるみたい。

「ミスティック・リバー」の編集中に「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本に出会うという具合に次々にいい脚本がまわってきたことは幸運だったとイーストウッド自身がいう。

スピルバーグは「流れ者」と喩え、スタンスを固定せずさまざまな素材やモチーフに出会っては興味を持ってつきあうようになる、その繰り返しだと語る。

「マディソン郡の橋」に出演したメリル・ストリープは自分の演技を切ったイーストウッドを監督としての目が俳優のそれを超えている、なかなかできることではないと語る。

イーストウッドはよく早撮りと言われるけれど、「ミスティック・リバー」のスケジュールが9週間の予定が7週間で終わってしまったというのはなるほど早いけれど、日本映画にしてみると長いなあと思う。

監督は映画評論家として有名なリチャード・シッケル。同じくイマジカBSで放映された「クリント・イーストウッドの真実」も作っている。

イーストウッド 語られざる伝説 Eastwood Directs: The Untold Story



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2月9日(木)のつぶやき

2017年02月10日 | Weblog

「タンポポ、ニューヨークへ行く」

2017年02月09日 | 映画
「タンポポ」が作られて30年以上、当時のアメリカではラーメンといえばカップラーメンが辛うじて上陸していた程度だった。
それが今ではNYには各種のラーメン店があちこちにあり、日本で修行してアメリカで店を出している店主もいたりして、ラーメンというのは店によって全部違うものだと語る。実際そうだものね。

そのNYで4Kレストアされた「タンポポ」が再上映されたわけだけれど、一番端的な人間の欲望、食欲に加えて性欲、それにまつわる生と死といったモチーフは古くなりようがなく、細部の日本的な目新しさは最近ますます人気だろうし、知的な笑いといったところがNYでは受けているのだろう。
他の伊丹作品がどの程度海外で評価されているのか知らないが、「タンポポ」が頭ひとつ抜けている感じはする。
インタビューされるアメリカ人たちがどの場面が好きか聞かれて答える答が全部違うのがアメリカらしい。

あとしきりと指摘されるのが形式の独創性で、伊丹十三自身ブニュエルの「自由の幻想」だと言っているけれど、緩いしり取り形式はとっているがまあ融通無碍な形式で、伊丹は自分の作品は一種の日本人論だとかねがね言っていたが、日本で一種の自由さを担保しようといるとヤクザとか刑事とかある程度自由に動ける職業の人間に託したりするけれど、そうではなく作者の精神と姿勢が自由である必要があるという発言が出る。

ところで、これは別に中傷する意図はなしで言うが、大友柳太郎のラーメン道の先生に渡辺謙が教えを受けるシーンのやりとりは、東海林さだおの「ラーメン大好き!」というエッセイが元です。セリフの細部に至るまでほぼ忠実で、金銭的な形で解決しているが、結構こういういただきはあるらしい。

タンポポ、ニューヨークへ行く - 日本映画専門チャンネル



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2月8日(水)のつぶやき

2017年02月09日 | Weblog

「神なるオオカミ」

2017年02月08日 | 映画
ジャン=ジャック・アノー監督というと、以前「セブン・イヤーズ・イン・チベット」で子供の頃のダライ・ラマに会った西洋人を描いて中国当局と対立した過去があるが、それが中国=フランス合作で文化大革命当時の内モンゴルに下放された青年の話を描くのだから、まあフシギみたいな話。

フランスの監督なのだけれど、コートジボワールを舞台にしたデビュー作「ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー」以来フランス国内を舞台にした映画はまったくない。
「人類創成」「薔薇の名前」のような学問的な作品とか、あまり国境とは関係ないモチーフを選ぶ癖があるみたい。

一方で「子熊物語」「トゥー・ブラザーズ」といった動物ものを取り上げてきた経験を生かしてか、狼というおよそ人間に慣れない(そこが犬と違う)動物を唖然とするくらい見事に動かして見せる。
たたずまいの威厳、群れになって馬の群れを追うシーンの迫力、子供の頃のかわいらしさなどいちいち目が離せない。ラストカットの狼の形をした雲っていうのはいただけないが。メイキングも見もの。オオカミが生まれた時から一緒にいて慣らしているのだから大変な手間と費用だ。

製作費は3800万ドル(ハリウッド大作に比べれば少ない、「沈黙」で4000万ドル)、全世界の興収は1億2578万4988ドル、そのうち中国が1億1046万ドル。アメリカでは210,591ドルと数字になっていない。日本はミニシアター公開。中国を舞台にしているのが敬遠されたのだろうが、ますますガラパゴス化が進みそうな話。
(☆☆☆★★)





2月7日(火)のつぶやき その2

2017年02月08日 | Weblog

2月7日(火)のつぶやき その1

2017年02月08日 | Weblog