サタジット・レイ(ショトジット・ライ )監督の1966年作。
人気映画スターが列車で 旅する1日間に、それまで彼と関わってきたさまざまな人間たちとの過去のかなり不快な思い出が挿入され、車内で出会った女性ジャーナリストや家族との行きずりながら率直な交流と対比される、 ベルイマンの「 野いちご」(1957)風の構成。
この回想や時に幻想(パートカラーあり)の入り方が見るからに技巧的ではないけれど画面の構図ともども端正できっちりしている。レイ初の本格的なカラー映画である「遠い雷鳴」の製作は1973年。
彼が酔って人を殴っていることが冒頭で新聞に載っていて、終盤、そうなるに至る再現場面の持っていき方が意表を突く。
高速で流れていくレールのアップと主人公のアップをカットバックして自殺を匂わすのも技巧と見せない技巧。
人気スターとあって寄ってくる人間の多くがその名声を利用しようとするのだらけで、旧知の組合活動家までというかだからというか利用主義丸出しなあたり、主人公がうんざりするのがわかる。