マドンナのナイショ話

あなたに話したいあれこれ

ニューヨーク恋物語 第6章横浜編

2008年07月19日 | ニューヨーク恋物語
「まえがき」


暑い日が続きますね。
19日、関東甲信、東海地方が梅雨明けし、夏本番を迎えました。


今日は、全国で453人の人が
熱中症の症状で、救急車で病院に運ばれたそうです。
暑い時は、本当に気をつけなきゃね。


今週もいろいろなことをブログに載せたくて・・・
それで2008年版、「ニューヨーク恋物語」が2週間ぶりの更新となりました。


mixiでは、週一にアップして、明日がもう第7章。
こちらは1週間遅れでごめんなさい。


でもブログはまだまだ、楽しいネタがいっぱいファイルに保存されています。
これからもどうか、私のブログをお楽しみくださいね。


         


                          


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さて、12章ある「ニューヨーク恋物語」も、今回は第6章。
ようやく半分過ぎることになります。


このあたりまで来ると、熱心に読んで下さる読者のみなさんの心の中に
すっかり「大沢と今日子」の像が出来上がってきます。
3年前がそうでした。


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このストーリーの結末をすでに知っている方もいらっしゃるわけですが
3年前は、全くわからない展開。
読者の人たちは、もの凄く楽しみにしてくれていました。


そんなのが支えとなって、私はこの物語を連載できたのかもしれません。
だから読者のみなさんには、今でも感謝しています。


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そして今ここで読んでくださる読者のみなさんにも、心から感謝して
今日の「まえがき」とします。


上の写真は左から
1  タイム・ワーナー・センター 
2  5番街のグッチ
3  セント・パトリック大聖堂 


物語の挿絵の写真は、
「NIGHT Windows ~東京の夜景」のShinshinさんと
過去の「マドンナの夢ギャラリー」の更新写真です。


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ミューヨーク恋物語2008  BGM 愛し君へ(森山直太朗)


         


                          


「ニューヨーク恋物語 第6章横浜編」


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一週間は夢ように過ぎていった。


大沢と今日子は毎朝肩を並べて、東京のオフィスへと向かった。
駅までの10分の道のりを短く感じるのは
大沢の話がとても面白いからだった。


毎朝、大沢は今日子を笑わせてくれた。


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帰りはいつも待ち合わせをして、必ず一緒に帰った。
時にはたくさんの食材を買って帰り、部屋で食事をした。


こんな季節に「鍋」は可笑しいけれど
ニューヨークでは一人で「鍋」はできないからと、今日子は支度をしてくれた。
二人は、「鍋」を囲んで向き合って、よく食べた。


毎日が新鮮で、夢のようだった。
月曜日の夕方には、大沢はニューヨークへ帰ってしまう。
けれど今は、別れのことは考えないで、精いっぱい楽しく過ごしたかった。




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日曜日、大沢は今日子に、素敵な一日をプレゼントしてくれた。
久しぶりに、二人でドライブだ。
今日子は嬉しくて、朝からバスケットいっぱいのお弁当を作った。


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昨夜心配して、吊るしたてるてる坊主は、忠実に約束を果たしてくれた。
今日は雲ひとつない青空だった。


大沢と今日子は湘南の海へ出かけた。
大沢の運転するレジェンドは、風を切って走った。


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海開きまで、まだ1ヶ月以上ある。
季節外れの海は、とても静かで、サーフボードを持った若者のグループがいた。


若者はサーフィンをしたり、ビーチで戯れたり
その若さに、二人は少し眩しさを感じていた。




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「若いっていいよね」 今日子が言うと
「僕たちも、彼等に負けないくらい若いよ」と、大沢は言った。


今日子は若くないから、色々に考えて・・・
色々考えるから、踏み切れないことがたくさんあって、仕事を辞められない。
今日子にとって、大沢も仕事も大切で、天秤に掛けられなかった。


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砂浜に、大きなシートを敷いて
今日子はバスケットからランチボックスを出した。


サンドイッチにホットドック・・・・。  天むすびも作った。
フライドチキンに、卵焼きに、ウインナーソーセージ。
バスケットの中は、すべて大沢の好物のものばかりだった。


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「僕、このウインナー大好き」
そう言って、箸で摘んだのは、真っ赤なタコウインナー。


「僕、このりんご大好き」
そう言って、手づかみしたのは、ウサギの耳を形どったりんご。


子供が喜ぶようなことをすると、決まってはしゃいで喜ぶ大沢を
今日子はとても可愛らしいと思った。


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二人は昔から、湘南の海を見ながら過ごすのが好きだった。


寄せては返す波は、まるでレモンソーダーの泡のように消えていった。
潮の香りを体中で感じると、日常の疲れをかき消した。


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潮風は今日子の髪を乱した。
今日子は右手で髪を押さえながら、大沢に語りかけた。


「ねえ・・・ 私 仕事辞めようかしら?」


大沢は今日子の揺れる気持ちが、手に取るようにわかっていた。
大沢は「仕事を辞めろ」と言うことが、今日子の幸せなのかと考えた。


今日子にとって子供の頃から夢に描いた職業だった。
今、一人の男のためにその夢を捨てさせていいのかと・・・・。


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大沢は自分には自信はあったが、
一方では裏腹な気持ちの自信喪失の自分がいた。


「ゆっくり考えて、結論を出せばいい。 僕はいつまでも今日子を待っている。」
大沢はそういうのがやっとだった。


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どれくらい湘南の海でいただろう。
パラソルの下で寝転んで、二人は他愛もないおしゃべりをした。


一緒にいると、お互い、安堵の気持ちでいっぱいになった。
夕陽はゆっくりゆっくり西に傾き始めた。


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大沢の車は湘南から「みなとみらい」へと向かった。


「ねえ・・・ お家に帰らないの?」 と今日子が尋ねると
大沢は、「ランドマークタワーへ行こう」と言った。


今日子は首をかしげながら大沢の指示に従った。


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ランドマークタワーでは、よく食事やショッピングをした。
日曜日には、ここで待ち合わせて、みなとみらいでデートした。
二人にとって楽しい場所でもあった。


ランドマークタワーは、52階から高層ホテルの客室だった。
大沢は今日子を残してフロントに行った。
今日子には、その意味がわからなかった。


しばらくして今日子のところに戻ると、大沢は言った。
「今夜、僕たち、このホテルでお泊りだ」


今日子は驚いて
「嘘でしょう? からかわないで」 と言った。


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「ホラ! 僕たちのルームキーだよ。」


今日子は言葉を失った。
大沢がランドマークタワーにあるホテルを予約してくれていた。
摩天楼のビルから夜景を見ながら、最後の夜を過ごそうと言うのだ。


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ベルボーイがフロントから部屋に案内してくれた。
部屋はベイサイド側の64階だった。
今日子はまだ信じられなかった。


「嬉しいわ。 私、こんなに幸せでいいのかしら?」
もっと嬉しい気持ちを言葉にして、大沢に伝えたいのに
胸がいっぱいで、言葉が出てこなかった。


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一週間は短かった。
今夜は二人で過ごす最後の夜だ。


こんな素敵な部屋を二人のためにと思うと
今日子は大沢の気持ちが、愛しくて涙が出た。


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「今夜みなとみらいで、もうひとつ行っておきたいところがある。」
大沢は今日子に言った。
「明日、ニューヨークに発つ前に、赤レンガ倉庫に行っておきたい。」


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ミレニアムの年に、あるイベントがあって
大沢と今日子は、赤レンガ倉庫で初めて出会った。


どちらも友人を介しての出会いだったけれど
二人は初めて会った時から、お互い不思議な魅力を感じていた。


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大沢は、今日子の聡明さに憧れていた。
女にしておくには、惜しいと思うことがあった。
けれどいつも謙虚で、女らしくて、家庭的であった。


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今日子もまた大沢の知識の豊富さに、憧れていた。
何を話しても、大沢は知らないことがなかった。
けれどそれを自慢するでもなく、優しくて、穏やかだった。


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そんな二人が付き合い始めるには、それほど時間がかからなかった。
みなとみらいの「赤レンガ倉庫」は、二人の出会いの場所であった。
そこに立つと、あの日の大沢と今日子が戻って来た。


真っ直ぐな長い黒髪。
パープル色のスカートに、黒のセーター。
エルメスのバーキンを持っていたけれど、少しも嫌味ではなかった。
きっと物腰の柔らかさが、そうさせたのだと思う。


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「初対面の時、あなたはここで、私のバーキンばかり見ていたわ。」


「だってこの若さで、エルメスのバーキンだなんて
 これはどこかの叔父様からのプレゼントかと思ったよ。」


「失礼ね。 趣味は時計とバックよ。
 あの頃の私は、そのために働いていたんだから。」  


「でも今日子がバーキンを持つと、全然嫌味じゃないんだ。
 今日子はバーキンがよく似合う女だよ。
 今日子のキャリアとステータスが、君を浮き上がらせない。」


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二人は思い出話を始めた。
他愛もないやり取りを 月が見て笑っていたかもしれない。


そんな幸せな二人の間に、時間は止まることなく流れていった。
砂時計がこぼれてゆく音が、耳元でする。
今の二人にとって、切なくて、やりきれない音だ。


「今日子、帰ろう。 ホテルの部屋に戻ろう。」
そう言って大沢は今日子の手を引いた。


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みなとみらいでの最後の夜を 美しい思い出にしたいと思いながら
二人はランドマークのホテルに向かって、ゆっくりと歩き出した。


第7章へ 続く・・・




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