文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

地獄少女 (2)

2025-03-08 17:46:50 | 書評:その他

 この作品はテレビアニメをコミカライズしたものである。ただ漫画化されたのは、企画が停滞されたころもあり、アニメ化に先立ってのことであるらしい。だから漫画がアニメ化されたものだと思っている人もいるだろうが、実態はアニメの企画が先で、それに基づいて漫画化されたものである。

 漫画を担当した永遠幸さん。何と読めばいいのだろうと思っていたのだが、色々調べてみると「エトウミユキ」と読むらしい。なるほど、言われてみれば、確かにそのように読める。

 ストーリーの方だが地獄少女閻魔あいが悪人を依頼に基づき地獄に落とすというもの。依頼者は午前0時に地獄通信にアクセスし、そこに誰を地獄に落としたいかを書き込めば良い。その代わり「人を呪えば穴ふたつ」で自分も死後地獄に落ちる。胸には契約の刻印が刻まれるのである。しかし胸にそんなものをつけては、登場人物はまだ中学生なので体育の時間なんかのときに困ると思うんだが。

 この2巻の途中からはすこし地獄へ落すシステムが変わっているようだ。以前は地獄通信に書き込めばよかったのだが、途中からは糸を結んだ藁人形を渡し、その糸を引き抜いて初めて、相手を地獄に落とす契約がなったということになる。これは、自分も死後地獄に行くことになるので、最後によく考えようという小さな親切か。

 掲載誌が「なかよし」という少女向けの漫画雑誌の為か、閻魔あいや地獄通信にアクセスするのは中学生少女が多い(おまけに美少女)。そして画風が少女漫画向けで可愛らしいのだが話の方は結構ハードだ。このギャップがなんとも言えない。

 でも。中学生美少女から「いっぺん死んでみる」なんて言われて喜ぶのは。特殊性癖といわれてもしかたがないだろうな。
☆☆☆☆

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中春こまわり君 1,2 

2025-03-06 16:07:01 | 書評:その他

 こまわり君といえば、かって少年チャンピオンで大人気だった漫画「がきデカ」の主人公だ。こまわり君とみんなから呼ばれている少年警察官が、その変態振りを発揮していくというギャグ漫画である。このこまわり君、大人になって立派な?警察官になるのかと思いきや、なんと電気メーカー「金冠生生電器」の営業マンになっている。そして逆向小学校の同級生で優等生だった西城君もなぜか同じ職場にいる。肩書は特にないので、二人とも平社員のようだ。そして2人ともアラフォーの中年になっている。

 変態こまわり君はともかく西城君はもっと出世していると思ったのだが。そしてこまわり君、変態のくせに妻子持ちなのだ。変態のくせに(ここ強調)決して妻との関係は悪くはないが、妻とこまわり君の母親の仲は最悪。

 この中年版を読むといろいろと分かることがある。まず小学校で同級生だったモモちゃんは西城君の妻になっているということ。そしてモモちゃんの双子の妹であるジュンちゃんは、こまわり君にさえダニと呼ばれるような碌でもない男に引っ掛かり、碌な人生を送っていない。碌な人生を送っていないということでは、こまわり君たちの小学校の担任であったあべ先生も同様。やはり変な男と結婚して離婚し、酒の飲み過ぎで肝臓をやられ、こまわり君とは病院で再会したという設定だ。

 こまわり君、当然ニックネームだと思っていたが、彼の本名は山田こまわり。なんとこまわりというのが名前だった。名字が山田というのは初めて知った。

 こまわり君の変態ぶりはあいかわらずだが、中年になって結構パワーダウンしているようだ。小学生の時は使えて中年の今は使えなくなった技?もあるようだ。「がきデカ」連載時は変態振りだけと言っても過言ではないが、この中年版では変態ぶりばかりではなく、名探偵ぶりもみせており、結構ペーソスも伝わってくる。
☆☆☆☆
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放課後探偵団

2025-03-05 00:27:33 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 本書は学園ミステリーのアンソロジーである。最初に断っておくが学園ミステリーなので、殺人事件など起こらない。登場人物たちが挑むのは、学園で起こったちょっとした謎。普段はあまりアンソロジーは読まないのだが、相沢沙呼さんの作品が入っているので手を出してみた。私は気に行った作家の作品は一気に読みたい方であるが、他にもお気に入りの作家を見出すチャンスかもということもある。

 収録されているのは次の5人の作家による5つの短編。
1.似鳥鶏 お届け先は不思議を添えて
 映研所蔵のVHSテープをDVD化すると言うので段ボール3箱分送ったのだが、そのうち一箱分のVHSテープが伸びてぐちゃぐちゃになり再生不能になっていた。なぜ?

2.鵜林伸也 ボールがない
 一年野球部員が、ノックに使ったボールをひたすら探すという話。鬼監督が一年生部員にボールを探させるが見つからない。
 
3.相沢沙呼 恋のおまじないのチンク・ア・チンク
 サンドリアンシリーズの短編が収録されている。バレンタインのチョコがなぜか教室の先生の机の上に集められていた。義理チョコも、本命チョコも。

4.市井豊 横槍ワイン
 他は高校時代の話だが、これは大学での話。同好会で撮影した映画の鑑賞会の最中、メンバーの女学生がワインをかけられた。犯人は誰?

5.梓崎優 スプリング・ハズ・カム
 高校卒業後15年目の同窓会に集まったかっての同級生。実は彼ら彼女らの卒業式の時に、「仰げば尊し」を流すはずが「燃え北」という曲が流れた。しかし放送室はもぬけの空。「燃え北」というのは昨春の学園祭用に放送委員会が作ったロック調の曲なのだが、なぜか受けてその後も流行していたものだ。ところが同窓会でタイムカプセルを開けると「犯人は私だ」と記載されたものが。残念なことに無記名。そこで推理が始まる。最後はちょとオカルッティックな終わり方だった。

 残念なことに、続けて読みたいと思った作家はいなかったが、相沢沙呼さん以外は寡聞にして知らない名前ばかり。でもやはりミステリーには大事件が付随して欲しいなあ。 
☆☆☆☆
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ゆるキャン△ 8,9

2025-03-01 13:05:59 | 書評:その他


 女子高生たちの繰り広げるゆるゆるキャンプ物語。やっと9巻目まできた。主人公(たぶん)は静岡県から山梨県に越してきた各務原なでしこ。彼女は本栖高校に入るのだが、そこで自ら入る野外活動サークル(通称野クル)のメンバーである大垣千明、犬山あおい。その他ソロキャンパーの志摩リン、帰宅部の斉藤恵那そして野クルの顧問の鳥羽先生が主な登場人物であるが、彼女たちとユルユルキャンプを行うというものだ。

 この8、9巻では伊豆キャンプの様子が描かれる。キャンプのメンバーたちがテストでキャンプを我慢するのだから、顧問のグビ姉こと鳥羽先生も3月まで禁酒するように千秋から言われる。これを律儀に守るのだから鳥羽先生も真面目だ。でもいざ伊豆キャンに行くとき、途中で温泉に入るのだが、ここで風呂上りにうっかりビールを飲んでしまう。キャンプのメンバーを車で運んでいる鳥羽先生だが、結局キャンプ場まで代行運転を頼むことになってしまう(飲んだら乗るなというころですな)。この辺りはグビ姉の面目躍如というところか?

 8巻では、リンの母親も昔バイクに乗っていたことが分かる。だからリンちゃんが原付で遠くまで行ってもそれほど過敏な反応はしなかったのか。リンちゃんそれにしてもリンちゃんの祖父はまだまだ現役のバイク乗りなのだが、ナイスシニアという感じだ。

 9巻では、この伊豆キャンについてきたあおいちゃんの妹のあかりちゃん。三四郎島のとんぼろを食べものと信じ込まされているのがなんとも面白い(とんぼろとは干潮時に道ができる現象)。

 鳥羽先生も、最初は顧問になると自分の時間が無くなるので、顧問はいやだと思っていたのだが、このころは完全に野クルに溶け込んでいる。しかし、顧問の野クルに所属してるのはなでしこ、千秋、あおいだけなのだが、リンや恵那、あかりの面倒も見ている、なんとも面倒見のよい先生になった。

 伊豆のジオスポットや名物などが紹介され、これを知るだけで、自分が旅をしている気分になりそう。
☆☆☆☆
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天才の栄光と挫折

2025-02-26 09:36:14 | 書評:学術・教養(人文・社会他)

 著者の藤原正彦さんはご両親が新田次郎さん、藤原ていさんと有名な小説家だ。ご自身はお茶の水女子大で数学を教えておられ、現在は名誉教授である。天才都言っても、分野によっていろいろあるが、ここで言う天才とはご自身が数学者らしく数学の天才のことである。だから、将棋の天才とか野球の天才などは入っていない。本書に収録されているのは
・アイザック・ニュートン
・関孝和
・エヴァリスト・ガロア
・ウイリアム・ハミルトン
・ソーニャ・コワレフスカヤ
・シュリニヴァーサ・ラマヌジャン
・アラン・チューリング
・ヘルマン・ワイル
・アンドリュー・ワイルズ
の9名。
 ご自身でゆかりの地を訪れたり、関係者に話を聞いたりして本の内容に深みを持たせている。よく日本人は改良するのはうまいが、独創性に欠けると言う人がいるが、本書を読むと本当は日本人はものすごく独創的なことが分かる。まあ、そういう人に限って独創性とは縁遠いのだろう。どんな民族にも独創的な人はいるものだ。ただ言葉の面で日本人にハンデがあることは否めない。本書にはひどいパリのホテルの話があったが、もしかするとこのあたりが日本人が過少評価されている原因があるのかもしれない。
 しかし数学の天才というのにガウスが入っていない。あまり挫折ということとは縁がなかったためかなあ。
☆☆☆☆
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