文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

駅弁ひとり旅1

2024-11-04 19:59:19 | 書評:その他

 主人公は鉄道に乗るのと駅弁が大好きな中原大介というおじさん。妻の優子から結婚10周年のプレゼントとして日本一周鉄道の度に出ることになる。この時点で、おじさんたちは涙にむせぶのではないだろうか。ホンマええ嫁さんや。

 大介が東京駅から乗ったのが今はなき寝台列車のブルートレイン。そういえば夜行寝台列車、昔は結構あったようだが、今は定期運行しているのはサンライズエクスプレスだけらしい。最も臨時で運行している列車もあるようなので、乗りテツの人はそちらも狙い目かも。ただ超豪華らしいので、運賃がどのような設定なっているかは自分で確かめて欲しい。

 大介君、ブルートレインの中で尾崎菜々という女性記者と知り合う。やはりむさいおじさんより若い美人の女性を主人公にした方が読者の受けがいいからか、続編の「新・駅弁ひとり旅~撮り鉄・菜々編~」では、この菜々さんちゃっかりサブキャラからメインキャラに格上げされている。

 ところでこの第1巻では九州各地を巡り、駅弁を紹介するという構成になっている。ただ20年前の漫画なので、今でもここに紹介された駅弁が売られているかどうかは分からないが、見覚えのあるものもいくつかあるので、興味のある方は確かめてみるというのも面白いのではないかと思う。
☆☆☆☆












コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自分で治すゆがみと痛み ゆびで改善

2024-11-02 14:46:48 | 書評:その他

 本書は約15年間整体をしてきた著者の経験を元にしたものである。私も最近寄る年波のせいか足が少ししびれるようになった。それが少しでも改善すればとの思いから、本書を読んでみようと思った。

 体のゆがみから様々な不調が発生する。だから体のゆがみを直せば不調が改善する。このことは多くの整体師がいることから理解できるだろう。

 ただ、本書にあるような共鳴法整体とかそれを著者が発展させた共鳴ゆび整体というのはデータ不足だと思う。言っておきたいが、それらを否定するつもりはまったくない。人間の体は不思議なものだ。まだまだ分かっていないことの方が多い。

 施術を受けた母数も良く分からない。少なくともきちんと母数を確保して、片方はこの方法、もう片方は違う方法で比較し、ちゃんと統計処理をしないといけない。ブラセボ効果でなく、実際に効果があることを証明しないと私のような理系人を納得させることは無理だと思う。一番いいのは誰もが納得できるような理論でそうなるのかを示すことだろうが、今の科学ではたぶん無理だと思う。だから次善の策としてデータを積み重ねるという訳だ。

 ともあれ「鰯の頭も信心から」と言う言葉もあるように、これをやることにより不調が解消されるならそれでいいと思う。本書に掲載されていることをやるのにお金はかからないし、時間もそれだけかからないからだ。
☆☆☆















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四谷怪談異説

2024-10-31 11:21:56 | 書評:その他

 四谷怪談といえば、鶴屋南北の作品のうち有名なものの一つだろう。実は鶴屋南北というのは、歌舞伎狂言の作者で襲名するものだったようだ。だから5人の鶴屋南北がいるが、この南北は4代目。通常鶴屋南北と言えば、この4代目を指すらしい。

 四谷怪談は、怪談物として有名だ。不誠実な夫・田宮伊衛門によって殺されたお岩さんが亡霊となって伊右衛門に祟りをなし、遂には田宮の家を亡ぼしてしまうというのが一般の人が知っている話だろう。そして、そんなお岩さんを祀ったのがお岩稲荷と言われている。

 しかしこれには異説がある。下町派すなわち町人派の唱えるのは怪談なのだが、山の手派すなわち武家派によって唱えられていたのは一種の美談。この話においては、伊右衛門もお岩さんもハッピーエンドになっている。そしてお岩稲荷は、お岩さんが信心していたお稲荷さんで、この話を聞きつけて自分も拝ませて欲しいという人が増えた結果が今のお岩稲荷になったというものだ。

 怪談か美談か。今となってはまず分からないが、どんな話にも真反対の説がある。自分の立場や物の見方などを反映していることが多い。くれぐれも片方の話だけを聞いて、それを鵜呑みにすることがないようにご用心、ご用心。
☆☆☆












コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鬼棲む国出雲

2024-10-28 22:47:50 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)


 高田嵩史さんの「古事記異聞」と名付けられたこのシリーズ。舞台は出雲だが、出雲といっても、今の出雲市だけではない。要するに島根県の東半分、昔で言う出雲の国ということである。

 主人公は東京麹町にあると言う設定の日枝山王大大学院に新学期から通う橘樹雅(たちばなみやび)という女子学生。実は彼女就職希望だったのだが、志望する会社は全滅。一流企業に入って、エリートサラリーマンと恋に落ちと頭の中に描いていた夢は儚くも崩れ、大学院に進むことになった。

 彼女は民俗学に興味を持ち、民族学の研究室を主宰する水野教授の研究室に入るのだが、肝心の水野教授はサバティカルイヤーで長期休暇中。研究室を任されている准教授の御子神伶二や助教の並木祥子は一癖も二癖もありそうな変人である。それでもめげずに研究テーマの出雲を取材するために旅立つのだが、そこで事件に巻き込まれる。

 古代の出来事と現在の事件をクロスオーバーさせるという手法は、他の高田作品と同様。でも彼女と事件がクロスオーバーするのは全体の7割近くである。これはさすがに遅すぎるのではないか。まあ、古代史の謎が色々提示されるのは面白いと思うのだが。
☆☆☆☆










コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あばばばば

2024-10-25 13:29:30 | 書評:小説(その他)

 「あばばばば」、何とも変わったタイトルである。芥川は時折ヘンな作品を書くので、これもそんなものだろうと思って読んでみた。

 内容は「保吉(やすきち)シリーズと呼ばれるもののひとつらしい。名字の方は出てこないので分からない・このネーミングに時代を感じるのは私だけだろうか。だって「保吉」だよ「や・す・き・ち」。今時こんな名前を付ける親はまずいないだろう。(いたらゴメン)

 ところで、内容の方だが、保吉は海軍の学校へ教師として赴任してきた。海軍の学校としかないのだが、海軍兵学校のことだろうか。

 作品の舞台となっているのは、安吉が通勤の途中で寄っている店。タバコ、缶詰、ココア、マッチと色々なものを売っているようなので、よろず屋(某時代劇スターのことではないよ)のようなものだったのだろう。よろず屋というと今の若い人は分からないかもしれないが、色々なものを売っている店。今で言えばコンビニのようなものだと思ってもらえば当たらずといえども遠からずといったところか。

 ここの勘定台に若い娘が座るようになった。この娘、なんとも初々しいのだ。商品知識はいまひとつだし、妙におどおどしている。ある日この娘が見えなくなる。次に見たときは、赤子を抱いていた。タイトルの「あばばばば」と言うのはご想像の通り、赤子をあやす言葉だ。それも顔も赤らめず、人前にでも恥じずにだ。

 私は最初この話を読んで、BLものではないが「やおい」という言葉を連想した。すなわち山なし、落ちなし、意味なしである しかし最後の方を読んで「母は強し」と言いたいのだろうと思った。
☆☆












コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする