文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

神眼の勇者1,2

2024-10-21 09:33:12 | 書評:その他



 これも異世界転移ものだ。主人公は丸太真というニートの青年。なぜか突然アステナという女神に召喚され、マナステシアという異世界へ行ってしまう。ところがこの女神様とんでもないビッチ。自分で召喚したくせに、就社や英雄の素質がないとばかりに、クズ呼ばわりして異世界のどこかにポイされてしまう。でも捨てる神あれば拾う神あり。老婆に扮していた別の女神さまに新設にしたことから、使途になることを勧められ、神眼の力を与えられる。

 なんとか最初の街までたどりついたのはいいが、その街はゾンビに汚染され生き残りはわずかに5人。しかも2人は双子の胎児。そのうちのひとりはなんと大魔女の転生者。ただし、殆どの魔法は忘れているらしい。

 真の使う武器がなんとも面白い。なまえからなんと丸太なのだ。剣や槍の才能はないようだが、丸太を持てば最強。おまけにルースという丸太匠(ログマスター)に師事して丸太道をブラッシュアップしたり、神眼がレベルアップして、眼からビームを出したりともうシッチャカメッチャカ。

 ところでアステナの使途と言う勇者。さすがにビッチ女神の使途だけあり、とんでもないクズ。

 不思議なのは、真の丸太。別に女神が与えた訳ではないのに、どうしてあんなに強い。それに言葉で苦労しているシーンもないし、もしかすると異世界ものによくある転移特典か?
☆☆☆☆
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ポイントギフター《経験値分配能力者》の異世界最強ソロライフ

2024-10-10 23:44:24 | 書評:その他

 この作品は異世界ものでよくある追放ものだ。この手のものは、強欲なリーダーにより主人公は追放される。でも主人公は特異な能力を持っており、この恩恵を失った彼を追放した連中はどんどん落ちぶれていく。要するに1種の「ざまあもの」でもあるのだ。

 主人公はフィルドという少年。彼は、ポイントギフターという能力を持っていた。これはパーティにいるだけで経験値が倍以上に膨らみ、増加させた経験値は本人の好きなように分配できるというもの。

 誰もがうらやむような能力だが、彼が属していたギルドが悪かった。「栄光の光」という超ブラックギルド(この作品ではギルドとは、冒険者ギルドや傭兵ギルドといった大きな組織ではなく、他の作品で言うクランに近いもののようだ。)その構成員はフィルドのおかげで強くなったことを認識せず、もう十分強くなったからフィルドはいらないといって、彼を追放する。

 ところが、フィルドは貸したポイントを引きはがし、どんどんレベルアップしていく。そうポイントギフターは、経験値を与えるギフターではなく、経験値を貸すレンダーだったのだ。一方「栄光の光」の方はどんどん落ちぶれていくのだ。

 ここからいくつか教訓が得られると思う。まずその力は本当に自分の力で手に入れたのかそれとも他人の協力があったのものかをよく考えてみる必要がある。他人の協力が必要なら、もしその人がいなくなったらと考えておかなくてはいけない。これがリスク管理と言うものだ。次に他の人の能力を十分に理解しておく必要があるということだ。「栄光の光」の連中はポイントギフターという能力を十分に理解していなかった。もし理解していればもっとギルド内で優遇していたし、間違っても追放したりはしない。
☆☆☆☆











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批評回帰宣言

2024-10-05 09:00:48 | 書評:その他
 

 私はあまり思想的なものは読まないのだが、今回は書評を書く一助になるかもと思い読んでみた。読んでみてまず思ったのは、「ソーカルさん出番ですよ」ということだ。(ソーカル事件を知らない人は、ネットで検索してみて欲しい。沢山でてくるはずだ。)

 本書は、近代システムの矛盾を乗り越えるには批評が必要だといっている。それでは近代システムとは何か。次のような記述がある。
「近代システム」とは「虚無」のことである。(p7)「近代システム」とは具体的には、資本主義のことであり、(p23)
つまり「虚無」=「資本主義」という訳だ。この時点でイデオロギー的な臭いがプンプンしてきた。

 また近代とは何か? 一般には日本においては、明治維新から太平洋戦争終結までらしい。それなら今さら昔のことを掘り返す必要はないのではないか。江戸時代の武士について、ここが良かったとか悪かったといってもどうしようもないからだ。ただ近代と言う言葉には現代も含むことがあるらしいのでちょっとややこしい。それに扱っているのが和辻哲郎だとか坂口安吾、江藤淳、中江兆民、福沢諭吉、夏目漱石といういわゆる昔の人を扱っているのも違和感がある。もし現代まで扱うのなら、現役の方の思想を取り上げるべきだろう。

 本書を読んで、批評というものは、自分で枠をつくり、これにあてはめて色々なことを解釈しているということを再認識した。作品が先に来るのではない。自分の枠が先なのだ。例えばシェリー夫人の「フランケンシュタイン」に対する批評である。一例をあげると、なんと若干19歳の彼女の小説に対してマルクス主義批評なるものがあるようだ。(廣野由美子「批評理論入門」2005中公新書)そもそもこの小説が発表されたときマルクスはまだ生まれていないので、作者がマルクス主義者という訳ではない。マルクス主義の窓からみて、本書を批評するとこうなるというものだ。

 このことを端的に示しているのが次の部分である。第二章の江藤淳論の一部だ。
家族と敗戦は、彼の批評スタイルを決定してしまった。(中略)世界をもう一度自分なりの価値観で腑分けし、色彩を取り戻さねばならない。(pp110ー111)
だから批評と言うものは決してニュートラルなものではない。評者の価値観から見てどう見たということだろう。批評をしようとするものは、自分の立場をはっきりさせておくべきだろう。

 著者は巻末の著者紹介から判断すると日本思想史が専門のようである。それがどうしてガリレオとかケプラーを引き合いに出すのか。
また流動する世界に魅せられ、探求しつづけたガリレオ・ガリレイやヨハネス・ケプラーの場合その変化の奥にある不変なもの、すなわち永遠に触れようとした。(p102)

確かに物理学はなるべく少ない原理で世界を証明したいというところがある。しかしガリレオやケプラーが流動する世界に魅せられていたというのは信じられない。いろいろ調べてみたが、残念なことにそれらしきものを見つけることができなかった。まあ彼らがどう考えていたかを知るのは、今では悪魔の証明になってしまうのでまず無理である。
ただ、信じられない理由として、彼らよりずいぶん後の人であるアインシュタインさえも、自身の一般相対性理論で「膨張する宇宙」という解が見つかったときに、宇宙は変化せず定常的なものとして宇宙項を付け加えたのは有名な話だ。(もっとも後で「人生最大の誤り」として撤回したが。)西洋はキリスト教などの影響が強い。だから流動する世界に魅せられというのはまずないだろう。

 ところで、本書には批評だけでなく、著者の歩いてきた道も伺い知ることができる。私は伝記を読むのが好きなので、なかなか興味深かった。
☆☆
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デカフェにする?

2024-09-26 14:41:05 | 書評:その他


 デカフェとは、カフェインを除去したコーヒーのことだ。本書を読むまで、デカフェというのはカフェインのない、例えばタンポポの根のようなものを言うのかと思っていたのだが、普通のコーヒー豆からカフェインを抜いたものだった。

 カフェインが体質的に苦手だと言う人がいる。カフェインは立派な?アルカロイド系の薬品で、過剰に摂取すれば健康被害が起こりかねない。場合によっては市に繋がったり、禁断症状も出てくることもある。

 こういったことは許容量や症状の個人差が大きいが、著者の場合はカフェインを摂取すると動悸がひどいのである。でも大のコーヒー好き。そう簡単にコーヒーをやめられない。そこで目を付けたのがカフェインの殆どないデカフェという訳だ。

 でもデカフェ用に特別な豆を使っている訳ではない。普通のコーヒー豆からカフェインを抜いているのだ。だからおいしい豆を使えばおいしいし、そうでなければそれなりである。

 コーヒー豆からカフェインを取り除く方法は次の3種類。
①有機酔溶媒を使うカフェイン除去法
②水だけを使うウォータープロセスカフェイン除去法
③二酸化炭素を使ったカフェイン除去法

 このうち①は、日本での製造も輸入も禁止されているので、私達が楽しめるのは②か③によるものとなる。

 本書にはカフェインに関するあれこれ、世界のデカフェ市場、カフェインの除去方法、お勧めのデカフェブランドなど、一通りデカフェに関する知識が身につくと思う。

 ただ1日あたりのカフェインの許容量を知って、カフェインをコントロースしたい人は、緑茶やチョコレート(カカオ豆は結構カフェイン含有量が多い)、エナジードリンクなどにもカフェインが含まれているので、その分を計算に入れて欲しい。
☆☆☆☆
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ヤング 島耕作 主任編(1)

2024-09-10 09:47:11 | 書評:その他

 サラリーマン出世物語の観がある島耕作シリーズだが、この巻では耕作の主任時代が描かれている。ちなみに、主任というのは一般に係長より下の職位である。この作品においても係長編があるので、同じような扱いなんだろう。

 読んでみると、当時と今の考え方の違いが良く分かってなかなか興味深い。当時はいわゆるモーレツ社員がもてはやされた時代だ。つまり24時間働けるかどうかだ。今こういったことをやれば超ブラック企業と思われ、入社希望者はいなくなるのではないだろうか。

 キックバックは当たり前、労基法ってなに、それ食べれるのと言った時代であり、いくら自分の仕事が終わっていても、残っている人がいればその手伝いをしないと帰り難い。いかにも昭和のニッポン。本作はアメリカ的な個人主体の考え方より日本の組織的な考え方の方がいいように描かれているが、私にはかなり違和感がある。遅くまで残っていること一つとっても、それはその社員が能力が足らないか、仕事が出来過ぎて、ものすごく仕事を抱えているかのどちらかだ。それを調整するのは本来管理職の役目なのだが、それらしき場面は出てこない。

 出てくるのは、社内政治に精出す上役たち。そして全体主義的な職場。就業時間前にはみんなで社歌を歌う。ものすごく違和感があり、こん会社には絶対に就職したくないと思う。しかし昭和の時代、会社ってかなりブラックだったんだということと、小物感漂う上司が多かった(小物ほど出世する観があり、よくこれでニッポンNO.1といわれた時代があったなあと思う。)というのは思わす共感してしまう(笑)
☆☆☆










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不自然な宇宙

2024-09-08 20:56:13 | 書評:その他


 物理学の専門家以外はあまり気が付かないだろうが、我々の生きているこの宇宙はものすごく不自然なのである。それではどういったところが不自然なのだろう。本書に述べられているのは、

 
・この宇宙は物理法則から予想される特徴的な大きさ(10のマイナス33乗センチメートル)に比べて、少なくとも60桁(1兆×1兆×1兆×1兆×1兆倍!)以上大きい
・この宇宙には4つの異なる相後作用(力)が存在するが、その強さは約40桁も違っている
・この宇宙を支配している宇宙定数の値は、物理法則から予想される特徴的な大きさに比べて、約120桁小さい(p22) 


 しかし、それはこの宇宙を唯一無二なものだと考えるということも大きいのだ。もしこの宇宙以外にも、無数の色々な宇宙が存在して少しずつ物理法則が違っていると考えればいい。その中には色々な物理法則が成り立っている。そしてたまたま私達の生きているこの宇宙がそのような性質を持っていると考えれば良い。つまり宇宙はユニバースではなくマルチバースなのだ。

 本書はこのマルチバースについて解説をしたものだ。もちろんマルチバースと言うのは今の科学では仮説にすぎないし、証明する手段もあるとは思えない。

 でも、ラノベによくある異世界もの。本当にマルチバースがあるのならそんな世界もあるかもしれない。
☆☆☆☆
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相談役島耕作 1

2024-08-28 13:17:37 | 書評:その他


 サラリーマン出世物語の観がある島耕作シリーズだが、この作品では耕作は会長を退き相談役となっている。通常大きな会社には相談役がいたり顧問がいたりすることが多い。違いが分からない人も多いだろうが、通常会長や社長を退くと相談役に、その他の取締役を退くと顧問に就く人が多いようだ。もちろん企業の本来のオーナーである株主によって選ばれるのは取締役なので、相談役や顧問に実権を持たせるのはガバナンス上の問題があると思うが、中には取締役相談役といった訳の分からない職位についている人もおりややこしい。

 私に言わせれば、オーナー企業なら好きにやってくださいといったところなのだが、株式を一般公開している企業なら、役員を退いたら潔く会社から身をひくべきだろう。特にコスト低減に励んでいる会社なら、真っ先に手を付けるべきではないのか。私なら、相談役に何も相談しようとは思わないし、顧問なんて役職は真っ先に廃止するのだが。

 さて。本書では、サラリーマンとして企業の頂点となった島耕作の後ろ盾だった万亀健太郎の死、TECOT(島が入社した初芝電産が五洋電機と経営統合したもの)3代目社長の風花凛子への専務たちのイジメ。さてこの相談役編でも一波乱ありそうだが、果たしてどうなることか。なお、島耕作、これで上がりというわけではなく、どうもこのあとどこかの会社の社外取締役になるらしい。
☆☆☆☆











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女神のカフェテラス(1)

2024-08-26 09:55:25 | 書評:その他


 今深夜テレビでアニメの二期を放映している瀬尾公治さんの「女神のカフェテラス」の第1巻。可愛らしい少女たちが沢山でてくるので好きな人も多いことと思う。瀬尾さんは広島県庄原市の出身。私は生粋の広島人というわけではないが、広島に住む者としては親近感を感じる。

 主人公は、粕壁隼という男子。東大に現役合格したという設定だ。隼は祖母とケンカ別れしていたが、その祖母の訃報を知り、久しぶりに祖母が経営していた「Familia」という喫茶店に帰ってくる。他に親族がいなかったので、相続人は隼ひとり。要するに「Familia」を隼が相続したというわけだ。

 相続の手続きは私もやったことがあるが、結構面倒臭い。一緒に住んでいたらまだしも、別々に暮らして居た場合には亡くなった人がどんなことをしていたか全然わからないのである。銀行の残高証明ひとつにしてもどこの銀行と取引していたかなんて分からないのだ。だから残されたものから色々判断するしかないのだが、これもなかなか大変である。

 さて、作品に戻るが、「Familia」には居候がいた。それも美少女ばかりが5人も。祖母が一緒に住めばいいといったらしい。最初は「Familia」を解体して駐車場にしようと思っていた隼だが、祖母や少女たちの思いを知り「Familia」を再建しようとする。しかしなかなか前途多難なようだ。「Familia」は果たしてどうなるのか。そして隼と少女たちの関係は。
☆☆☆☆










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放課後ていぼう日誌12

2024-08-20 10:06:45 | 書評:その他

 これで放課後ていぼう日誌も12巻。都会から熊元県(この作品では仮名が実際の地名が分かるように変えてあることが多い)に越してきた鶴木陽渚が、父親の母校、県立海野高校(モデルは熊本県立芦北高校)に入学し、「ていぼう部」(なぜかほとんど釣りをしている。)という謎の部活で、部長の黒岩悠希や1学年上の先輩大野真、幼馴染の帆高夏海らと次第に釣りの楽しさに目覚めていくというもの。

 この巻では、次期部長をかけての部内でのハゼ釣り大会。黒岩部長は、いい機会なのでヒラ部員に戻って釣り三昧したいようだ。果たしてハゼ釣り大会の結果は?黒岩部長の目論見はうまくいくのか。そして、ていぼう部が活動実績を作る裏ワザとは?

 出てくる少女たちは飛び切りの美少女というわけではないが、なぜか可愛らしい。また堤防釣りでどんな魚が釣れるのか、魚の釣り方、そして釣った魚のさばき方(なにしろ部のモットーが「釣ったら食べる」なのだ。)なんかも釣り好きな人にはいいと思う。
☆☆☆☆










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イジらないで、長瀞さん(20)

2024-08-12 10:51:16 | 書評:その他


 草食系男子の八王子直人(センパイ)と肉食系ドS女子の長瀞早瀬(ハヤっち、トロちゃん)が繰り広げるラブコメの「イジらないで、長瀞さん」もこれが完結編。

 最初の頃は、肉食系ドS女子の長瀞さんに、「これはないわ!」とかなり引いていた。でも巻数が進むにつれ、不思議なことに、長瀞さんがどんどん可愛く見えてくる。何しろこの長瀞さんツンデレをかなり拗らせたような性格、センパイのことが大好きなのに、ついイジってしまう。

 しかしどんどんセンパイ大好きオーラが出てきて、この最終巻では、これまで以上に二人のイチャイチャが目立つ。そして卒業式。長瀞さんが送辞をして、センパイが答辞をする。要するに、卒業式の場を借りて二人のこれからの決意表明をした感じだ。しかし、センパイの方は両親らしき人が卒業式に出席していたのに、長瀞さんは兄と姉の出席である。兄妹3人で暮らしているのだろうか。でも結果的には全員に祝福されたようでいい終わり方だった。

 ところで、センパイは藝大に現役合格している。藝大としかでてこないが国立とのことなので、芸術系の最高峰の東京藝大の事だろう。そして通えないことはないが遠いので東京で一人暮らしをしている。それはいいのだが、長瀞さんも来年は東京の大学へ行き、センパイと一緒に暮らす予定のようだ。まさかのセンパイ、リア充生活(笑)。

☆☆☆☆☆







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