本書は、航空自衛隊員を経て宇宙飛行士になった、著者の話を多くの宇宙からの写真と共に纏めたものだ。
将来、天文学か物理学の研究者を夢見ていた著者は、家庭の事情で、腕試しとして受験した防衛大に進学する。防衛大なら、学費はかからないからだ(本書には書かれていないが手当も出る)。
防衛大を出て、航空自衛隊に入った著者だが、宇宙への夢は捨てがたく、宇宙飛行士を目指すことになる。本書を読むと、本人の努力も大事なのだが、理解ある人に囲まれることが大切だということがよく分かる。
例えば、JAXAの宇宙飛行士募集に応募することを勧めてくれたのは著者の奥さんだった。また、上司は快く推薦状を書いてくれたし、仲間の後押しもあった。もし、この人たちがいなかったら、油井宇宙飛行士は誕生してなかったかもしれない。
興味深かったのが、トイレの話。タンクに貯めて、いっぱいになるとタンク毎交換するのだが、予備がない状況になると、ゴム手袋をして、タンクの中に便をぎゅうぎゅう押し込んでいたそうだ。これは素人考えだが、タンクの中のものを宇宙に捨てられるようにできないものかと思う。大昔の列車は、便を外にまき散らしながら走っていた。沿線に住んでいた人は大迷惑だが、宇宙は広い。誰も文句は言わないと思う。
本書に収録されている、絶対に地上からでは写せないだろうい絶景写真の数々はすごい。環境破壊が問題となっているが、それでも、地球という星の美しさを再認識させてくれる。私たちは、この美しい星を守っていかなければならないのだ。それはただヒステリックに叫ぶばかりではなく、知恵を絞って、現実的な案を考えていかなくてはならないのだと思う。
☆☆☆☆