モグラの名前を知らない人はそうそういないだろうが、通常は地中に住んでいるので、実際に見た人は少ないのではないだろうか。私は田舎育ちなので、実際に本物のモグラを見たことがある。調べてみると、モグラにも何種類かあるらしく、私の見たモグラがどれになるのかはよく分からない。
本書によれば日本には6種のモグラと、2種類の近縁のヒミズがいるという。ただし北海道にはいないようだ。また、子供の頃はモグラ自体は見えなくても、モグラが地中にいることが分かるというのは、そう珍しいことではなかった。畑の土がモグラによって掘られているのをよく見かけたからだ。
本書は一言で言えば、モグラを飼育した時の監察日記のようなものだ。もちろん、小学生が夏休みの宿題でやるようなものではない。専門家によるモグラの生態の紹介である。調べてみると、著者は動物商勤務のあとフリーのカメラマンとなった人で、動物をテーマにした著書が多い。
本書には時折モグラやヒミズの死体が道に転がっているのを見ることがあると書かれている。原因不明という。死ななくてもかなり弱っていることもある。私ももうウン十年も前の小学生の頃、家の裏でモグラがぐったりしていたのを見かけた。死んでいると思ってつい触ってしまったが、まだ生きていたようである。噛まれたのか前足でやられたのか、手が血だらけになってしまった。そしてモグラはどこかに。もし見かけても、絶対に素手で触ってはいけない。
モグラは結構可愛いので見つけると触りたくなる。だが野生動物なので、歯や爪はかなり鋭く危険なことを忘れてはならないのだ。それに鳥獣保護法もあるので、場合によっては逮捕されるリスクもある。
☆☆☆☆