著者の高野秀行さんだが、あの早稲田大学探検部で有名な方だ。もっぱら探検部が前に出ているので、正確に何学部の何学科を卒業しているのか知らない人も多いと思う。私も知らなかったので一応調べてみた。ウィキ情報によれば、早稲田大学第一文学部仏文科卒だそうだ。
本書は、「幻の怪獣・ムベンベを追え」に続く作品だが、最初は「アマゾンの船旅(地球の歩き方・紀行ガイド)としてダイヤモンド・ビッグ社から出された。出版社が期待していたのはガイドブックなのだが、なぜか提出されたのは高野さんの旅行記。さぞや出版社側も扱いに困ったことと思うが、この辺りがいかにも高野さんらしい。
こういういきさつもあり、本書は後に「巨流アマゾンを遡れ」と改題され、集英社文庫から発行された。経緯が「文庫版あとがき」に書かれているので興味があれば、そちらにも目を通して欲しい。
高野さんはブラジルに飛んで、アマゾンの河口からカメラマンと一緒に上流に遡っていった。読んだ感想はアマゾンとはカオスだということ。とにかく出てくる人がみんな変で面白いのだ。このカオスさは、日本では絶対味わえないだろう。実は一向には3人目がおり、この人はペルーからアマゾンを下り、高野さんたちとは中間点であるテフェの町で落ち合うようにしていた。この3人目の人、テフェで高野さんと出会ったのは良いのだが、彼はその時、道端で行商をしていた。聞いてみると、ペルーで二人組の警官に銃をつきつけられて、所持金の2/3を奪われた。残りの1/3も船の中で盗まれたらしい。
高野さんの旅行記を読んでいると、とても面白いのだが、自分で体験する気にはならないだろうなあ。
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