天牌外伝 1 | |
クリエーター情報なし | |
日本文芸社 |
・来賀友志、嶺岸信明
昔は麻雀と言えば男子大学生の必修科目。今のようにやれデートだとか、リア充だとかは普通の大学生にはあまり関係のなかった時代、大学生の暇つぶしと言えば麻雀しかなかった。もうウン十年も昔のことだ。私も田舎の高校生だったので、麻雀の「マ」の字も知らずに育ったのだが、大学に入ると、いつの間にか覚えてしまっていた。
何でも徹底的にやらないと気が済まない私の性格から、市販の教本を何冊か買い込んで勉強したものだ。当時は、正確な符の数え方やあまり一般的でない役までいろいろと覚えていたのだが、それも今は昔の物語。ウン十年もやっていないと、もはやかなり記憶が抜け落ちてしまう。
しかし、今でも麻雀の世界を描いた漫画があるくらいだから、一定の人気はあるのだろうか。たまたまキンドルの無料マンガで見つけたので、なんだか懐かしくなってダウンロードしてみた。
主人公は、一晩で億の金を動かすと言われる黒沢義明という凄腕の雀士。基本的には、彼が色々な面子と卓を囲むというのが基本的なストーリーだ。
この黒沢、どうみても悪人面なのだが、なかなか情に厚い人物として描かれている。このギャップがなんとも面白いのだ。まあ、麻雀漫画でさわやかなイケメンが主人公を務めても、あまり流行りそうにはないのだけど。ヤクザに足抜けをさせたり、ろくでもない男に貢いでいた女性に麻雀で金を取り返させたり、弟子を取らないと言いながらも弟子を取ったり。
ところで、昔は麻雀牌を手で積んでいたが、だいぶ前から雀荘なんかでは、全自動で機械が積んでくれるようになった。だから、本書に出てきた積み込みなどのイカサマの手口は、炬燵に入って手積みでやるのでない限りは、今では使えないと思う。こんなところにも技術革新の影響が出ているのかと思うとなんだか面白い。昔は、よくテレビにプロ雀士と言われる人たちが出ていたが、いまどうしているのだろうか。
今は、麻雀と言えば、ギャンブルというより、お年寄りの老化防止のための娯楽といった面が強いような気がするが、麻雀人口って、果たして今どのくらいいるんだろうか。
☆☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。
天牌外伝 2 | |
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