雨、24度、95%
香港に来てすぐに買った調理器具は、ナショナルの電気オーブンでした。その電気屋にスタンド式のミキサーが売っています。憧れのキッチンエイドのものではありませんが、イギリスのケンウッドのものでした。30年近く前、日本にはまだ家庭用のスタンド式のミキサーは売っていませんでした。これも、すぐに買いました。香港ローカルのデパート、ウィンオンの家庭用品売り場に行くと、驚くことに、パスタマシーン、ムーランという裏ごしをするものまで売っています。日本では、その当時、海外で買い求めて来るしか入手できなかったものばかりです。流石にイギリス領だけあってこうした家庭用品が揃っていました。もちろんパスタマシーンもムーランも小さな家計の中から買い求めました。
ですから、パスタマシーンが我が家にやって来てすでに20数年。流しの上のハッチを開けるとすぐ手の届くところに仕舞ってあります。 イタリアのインペリアのティタニアというパスタマシーンです。現在もこの形が基本で、パスタのカッターが上についている2段式の形になっています。これは手動ですが、家庭用の電動も出ています。このパスタマシーンを使うのは、パイ地を伸ばす時だけ、パスタを作ったことがありませんでした。どうしたことか、何かの拍子に急にそのムードに入ります。そうです、パスタを作ろうというムードです。
初めてですから、ハードルは低くしてと思うのですが、パスタの配合ですでに悩みはじめました。日本の方のレシピには水が入ります。ところが、イタリアの人たちのレシピには水がなく、卵の水分だけです。水無しだとボソボソしていそうですが、卵、粉、オリーブオイルだけで作ることにしました。捏ねるのはパンで慣れたものですが、このパスタ、ボロっと折れそうな感じに捏ね上がりました。我が家の台所のカウンタートップはやたらに厚く、パスタマシーンを万力で止めることが出来ず、テーブルで伸ばす、カットする作業をします。真剣に取り組んでいましたので、この間の写真がありません。
何度も言いますが、そば粉ばかりのおそばのように、ぼろぼろと折れそうで不安です。やや厚めに伸ばし、2種類あるカッターのうちの太い方を通しました。めでたしめでたし、讃岐うどんのようなふと打ちパスタが出てきました。この後、乾燥させるという方、そのまま湯がく方とこれまた皆さん色々書いていらっしゃいます。何分にも太麺ですので、乾燥させることに。 朝から作りはじめて、お昼まで乾燥させました。乾燥させる間も折れはしないかと心配です。お湯に入れる時まで、折れることもなくまずは一安心。
こういう試作品は、私のお昼ご飯です。ソースも残り物のトマトソース、中にいれるのは、イカのゲソとえんぺら。ゲソもえんぺらだってバカには出来ません、トマトソースとの相性は抜群です。地中海沿岸の方達に万歳と叫びたくなるくらい美味しい。さて、折れずにゆで上がった太めのパスタ、アルデンテに茹でて一度水洗いをして、ソースと和えました。
心配していた粉っぽさはありません。しっかりと歯ごたえのあるパスタに仕上がっています。いや、何でもっと早く作ってみなかったのでしょうか。生地の配合、伸ばし方、もう少し慣れが必要です。
こんな機械を眠らせておいたなんて、もったいない話です。