小雨,20度、73%
緑茶,紅茶、中国茶、これらが全て同じお茶の木の葉っぱからできていると知ったのは,恥ずかしい事に20年ほど前のことです。日本で作られるから緑茶,中国で作られるから中国茶,それ以外の国で作られたお茶は紅茶、そんな図式が頭に出来上がっていました。作られる行程の違いがお茶の違いです。緑茶は発酵させない,中国茶は半発酵,紅茶は発酵させたお茶の葉です。
同じお茶の葉からできているのですから,日本で紅茶が作られても何ら不思議ではありません。それでも日本のお茶の葉から作られた紅茶を頂いた時は、なんだか不思議な気がしました。しかもそのお茶は,新潟で作られています。新潟村上市のお茶屋さんの「雪国紅茶」です。しかも,100年ぶりに紅茶作りを始めたと書かれています。
急に日本の紅茶作りに興味がわきました。調べてみると,日本各地のお茶の産地は明治から大正の初めまでは,盛んに紅茶を作っていたそうです。当時、絹と並んで輸出品として作られていたのだそうです。輸出先はロシア、ヨーロッパ各国。その昔,日本でもお茶は高級品,庶民は今のように緑茶を口にする機会が少なかったと聞いています。日本で出来た紅茶は,日本人の口に入る事無く輸出されていたのかもしれません。
新潟でお茶の栽培と聞いた時これまた不思議な気がしました。お茶といえば南のイメージが付きまといます。最北限のお茶園がこの新潟だそうです。
お茶の葉はこんな感じです。茎も入っています。少しラフな中国茶の葉に似ています。熱い熱いお湯でゆっくりと蒸らして淹れてみます。葉っぱ自体には香りがありませんが,お茶を注ぐと微かに甘い香りが立ち始めています。フルーティーというのでもなく、爽やかな香りです。お茶の色は澄んだオレンジ色。口に含むとウーロン茶の爽やかな透明感と紅茶の香りが微妙に拡がります。重たくないお茶です。お砂糖はもちろんミルクも不要です。お茶の個性が全面に出たお茶ではありません。お茶を飲む私たちが密かに感じるこのお茶の個性です。
紅茶をいただく事は滅多にありません。日本からの緑茶,台湾からのウーロン茶はお土産でいいものを頂戴します。紅茶をいただくと非常に嬉しい,しかもティーバックではなくてルーズリーフです。初めてのお茶は,お茶の葉っぱを見たいので,ティーバックですら袋を切って葉っぱを確かめます。
紅茶は体を温めてくれます。一年中熱い熱い紅茶を飲みます。夏は体から暑気を払い出してくれ,冬には体の芯がホッと暖まります。まだ行ったことのない新潟の地を想像しながら熱い村上の紅茶をいただいています。