曇、27度、78%
街角にある小さなパン屋さん、大好きでよく入ります。匂いにつられて入ることもあります。地元福岡の小麦粉で作ったパン、天然酵母のパンなどと書かれていると興味津々です。どのお店も工夫して作っているのがよくわかります。デパートの地下にある有名なパンのお店も必ず覗きます。街角のパン屋さんとは違って、プロですよとばかりのパンの焼き色、品揃えです。フランスパンに入っているドライフルーツなどの取り合わせがとても勉強になります。そしてこの私、パン屋さんを出るときには手ぶらです。パン屋さんに足を運ぶのはただパンを見るため、パンを買うのではありません。パン屋さんを出て家に帰る道すがら、あのパンはこんなお味に違いない、噛めばこんな香りがするだろうと想像します。
数少ないレパートリーですが、家で私が食べるパンは自分で焼きます。最近は自分で作った酵母で焼くカンパニュー、酵母をいろいろ試します。もちろんイーストのプルマンも私の基本です。まん丸い基本のパンは、組み合わせ自由にナッツやドライフルーツを入れてみます。大きいままの時もあれば、小さく分割して焼くこともあります。自分の口にするパンをその時の体調や気分で作り変えて焼きます。それだけで大満足。
先日スーパーのレジに並んでいました。レジの横に、「本日の特売、食パン一袋、68円。お一人様2袋まで」と書かれています。えっ、68円?こんなに安いの、と驚きます。そして初めて、パン屋さんによく行くのにパンの値段を知らないことに気づきました。買うつもりではなく、見るためにパン屋さんに行くからです。
その一袋68円のパン以来、パンの値段を見るように心がけます。デパートの地下のパンはかなりいいお値段です。個人のお店もソコソコにお安くはありません。スーパーの大手メーカーのパンは安いもの高級感のあるやや高めのものが主流です。
2日前、久しぶりにプルマンローフを焼きました。焼きあがったパンをスライスしていて思います。このパンは一山68円では焼けません。強力粉は大手製粉メーカーのもの、日本の地粉は使いません。バターはその時で違いますが、香りの豊かなものを使います。自分でパンを焼くのは経済的にはよくないという結論です。つまり道楽、贅沢です。
40代の頃、まだ仕事をしていました。モモさんが我が家に来る前のことです。当時、とても精神的に辛いひと時期を過ごしました。その時、パンを焼くと心が和みました。手のひらの下で柔らかく、ほんのり暖かくふくらみはじめるパンの生地、オーブンで焼きあげる時のあの香り、パンを自分のために焼くことが心を慰めてくれました。そして、モモさんが13年私のパンを喜んで食べてくれました。もちろん今ではココさんが毎朝私のパンで朝ごはんです。最近は主人も美味しいと言って食べてくれるようになりました。それだけで満足です。ちょっとお高くつく家で焼くパンです。これからも焼き続けます。