曇、28度、86%
先日の上京は美術館に行くのが目的でした。見たいなあと思う展覧会は4つほどありました。羽田着、9時前。順路を考えます。持ち時間1日半です。そこで、六本木の国立新美術館の「ジャコメッティ展」から振り出しました。
ジャコメッティの彫刻はその異彩な表現された形に惹かれます。数々の作品に接するのはもう何度目になるでしょう。ジャコメッティの作品も興味はありますが、20年ほど前に初めて見たジャコメッティご本人の写真、ドアノーの写真展で見ました。その写真から滲み出ているジャコメッティの人柄が作品をさらに身近に感じさせてくれます。
細い細いジャコメッティの彫刻の数々、物を見つめてより忠実に作ろうとした結果がこんな細い彫刻になったそうです。何を見つめて、何を見出し、何に忠実に作ったのか、ジャコメッティ自身の目になってみたいと思います。
ジャコメッティが作品を作る前に描いた素描、そして作品より小さいサイズで作られたレプリカを今回は沢山観ることができます。有名な三作が展示されている部屋では撮影も許可されています。 「女性立像」を中心に「頭部」「歩く男」 の展示です。実はこの部屋はもう一つ仕掛けがあります。この部屋にたどり着く前に小窓で部屋の中を見ることができます。その小窓の前にはそれぞれの小さな像が置かれています。「あら、やはり有名な彫刻だから実際には観れずにガラス越しなのね。」と思っているとぐるりと回って広いこの部屋に入って行く仕組みです。しかも撮影許可です。
最近の展覧会は、作品を見ることも楽しみですが、展覧会の趣旨も以前とは変わって来ています。ただ作品を並べて見せるのではなく、主催者側が何らかの意図を持って集めた作品列です。その上、この三作品の展示のように見せ方にも工夫が凝らされて来ています。彫刻によっては屋外の展示の方が向いているものもあるはずです。
美術展に行く楽しみが、観るだけではなくなって来ました。ジャコメッティの彫刻を見ているとなぜかご本人と重ね合わせて観てしまいます。
「ジャコメッティ展」を出ると暑い夏空が広がっていました。お次に向かうのは、丸の内です。三連休最終日、きっと列に並ばなくてはなら無いでしょう。