晴、14度、76%
義母が病院での食事で一番嫌いなのがサワラでした。「ひとつも美味しくない、パサパサ。」と言います。見たところは不味そうではありません。いつも手を付けずに残していました。
我が家は香港時代の初めの頃このサワラにはお世話になりました。市場に並ぶお魚の中で手頃なお値段です。30センチほどのサワラ1匹からかなりの身が取れます。焼かずにボリュームの出る揚げ物にしていました。息子は育ち盛り、裕福な暮らしでなかった当時はサワラに助けられました。
そう言えば帰国以来サワラを食べたことがありません。これからの旬にはお刺身も魚屋さんに並ぶサワラです。切り身を2切れ買いました。身の厚いサワラです。香港のサワラよりはるかに大きなサワラと思います。お魚屋のおばさん、ムニエルがお勧めでした。
果たして義母が言うように美味しくないのかな? ゆっくりと蒸らした鉄観音茶の葉っぱを敷いて蒸し物にしました。お茶の香りが移ります。 お茶の葉を一緒に食べてもいいそうですが、私は残します。お茶の葉を一緒に食べるなら、お魚に軽く片栗粉を振って蒸すといい具合にくっ付きます。
癖の無い白身魚です。このサワラは十分に脂が乗っていました。蒸し時間に気を使いましたから、パサパサではありません。おそらく病院のサワラは火の通しすぎだったのかもしれません。
お魚屋さんの店先で丸のままの魚の姿を目にすることも少なくなりました。切り身が主流の日本です。丸のまま買ったお魚はさばいた後の骨を一度湯に通し、骨の周りの身を取ってふりかけを作っていました。久しぶりのサワラの味に倹しく生活していた頃が蘇りました。鉄観音茶の蒸し物は鶏肉でも美味しく作れます。早く火を通すために、包丁を身に入れてください。