晴、13度、91%
毎年11月には奈良国立博物館で「正倉院展」が開かれます。いつかは一度見てみたいと思っていました。今年は天皇即位を記念して東京でも正倉院の宝物が展示されることになったそうです。
福岡は数日の雨模様その中を飛び立ち、雨風とも強い東京に降り立ったのは1週間前でした。羽田から直接上野に向かいます。こんな雨ですから行列は出来ていないだろうと、足元に気遣いながら急ぎました。
正倉院の宝物と聞くと舶来ものとばかり思いますが、日本古来のものが多いのに驚きました。中国から渡来した螺鈿の施された鏡、思っていたよりはるかに大きなものでした。鳥の毛を墨に混ぜて書かれた篆書、学生の頃聞いた覚えがありますが初めて見るそのインパクトのある字に見入ります。
今回の前期「正倉院の世界」で話題を呼んでいるのは世界で一つしか現存しない「五弦琵琶」です。この「五弦琵琶」の展示室には五弦琵琶の奏でる音が静かに流れています。柔らかな音です。インド生まれの「五弦琵琶」は中国を経て日本にたどり着いたそうです。 こちらの写真はその「五弦琵琶」の模造品です。展示の一番最後に撮影可能として展示されていました。音に心を動かされますが、ご覧のように巧みな螺鈿の装飾が目を楽しませてくれます。裏面も素晴らしい螺鈿です。
中国渡来のフェルトのような敷物も思わず触りたくなる逸品でした。「花氈」、白地にブルーの花模様、色の違うフェルトを裏で継ぎ合わせて作ったものだそうです。
布好きな私には「古裂」の数々に喜びます。日本、中国の染、織りの基準の高さを感じます。色の褪せた小さな裂にも美しさを感じます。
来た時より激しい雨の帰り道、目も心も十分に楽しんだ満足感で雨さえも苦になりませんでした。