曇、26度、89%
庭の「カサブランカ」が咲きました。大きな白い百合です。香りの強さは「咲いたよ。」と知らせてくれます。「カサブランカ」も帰国前から庭に植えようと決めていた花でした。
10年前のお盆、母が逝きました。生前から血の繋がりのある私と息子にだけ見送って欲しいと言っていたので、二人だけで母を送りました。この家はちょうど改築中、屋根と柱しかない状態でした。お骨をお寺に預けて、私は香港に戻りました。
香港の家に着いたのは夜、ドアを開けると「カサブランカ」が家中に飾られていました。五十本はあったかと思います。その白さ、その香りに疲れを引きずっていた私は安らぎました。主人の母への弔いでした。翌年もその翌年も命日には「カサブランカ」を抱えて主人は帰ってきました。
九龍「太子」にある香港の花市、今思い出すと「カサブランカ」が一年中ありました。花までも輸入に頼っている香港です。早朝には世界中から集まって花が荷降ろしされます。「カサブランカ」はどこからきていたのかしら?確かめた記憶がありません。わざわざ花市まで出向き、主人は「カサブランカ」を求めてくれました。
母の命日のお盆には我が家の「カサブランカ」は咲きません。日本に帰って以来花屋に行くことが滅多になく、果たして、真夏に「カサブランカ」が売っているのか知らない有様です。帰国後、仏壇を始末しました。「仏壇仕舞い」です。そのあとに大きな黄色い花の絵を飾っています。 昨日、母へ一輪供えました。
たった一輪の「カサブランカ」が家中に静かな香りを漂わせています。私の大事な思い出の花です。
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