マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

『方言』

2021-04-12 | book
「日本の名随筆、別巻66」『方言』
1996年作品社、清水義範 編

古本屋さんで買った本です。
この「日本の名随筆」のシリーズは、全100巻、
別巻も100巻、計200巻もあるそうです。
この本では、33人の作家の
方言(なまり)に関連する掌編が集められています。

私の両親は共に京都生まれですが、
私自身は、小さい時から、あちこち移動したために、
話し言葉のイントネーションもアクセントも定まらず、
時によって、上げてみたり、下げてみたり・・・
我ながら、どこの言葉?という感じです。

自分はしゃべれないけれど、
それぞれの地方の言葉を聞くのが好きです。
旅の楽しみの一つです。

東京を首都と定め、東京弁を基本にして標準語が作られ、
その過程で、「訛り」がもっている細かな情感やユーモアが失われていきました。
特に学校で、標準語教育が罰則付きで、厳格に行なわれたそうです。

今は、方言もある程度、見直されていますが、
それはかなり危機感がある事の裏返しだと思います。

でも、言葉は生きもの、地方から(特に東京周辺+大阪よしもと)新たな訛りが東京に流れこんでは、
テレビの影響もあって、日本中にすごいスピードで伝播して行きます。

「情感を表す話言葉」とは逆に、話言葉が、細かな情感を生み出すという事もあるのではないか、と思います。
薄っぺらい話言葉は、その言葉に相応しい人間を作る気がします。

名古屋生まれの編者が書いた掌編「金鯱の夢」も載っています。
明治維新で、名古屋が首都になって、名古屋弁が標準語になって、教科書も先生もアナウンサーも名古屋弁で・・・・・
ちらりと皮肉も込められています・・・笑いました。

この本では、井伏鱒二をはじめ33名の物書きによる短文が集められていますが、
東北生まれの人は「渡辺えり子」や「井上ひさし」ら4人だけ、
ちょっと残念。








コメント (2)
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