とても古い画集を2冊持っています。
「オノレ・ドーミエ」と「レオナルド・ダビンチ」の画集です。祖父から母へ、そして今は私が持っています。
大正14年、今から98年前に出版された本です。
中は傷みも黄ばみもほとんどありません。不思議なほどきれいです。
カラー印刷が、5ページあります。
ドーミエは貧しい人々や、芸人や、あるいは酔っ払いや、
罪人や移民や市井の人々の姿を描く一方、
役人や裁判官やなどの姿もリアルに、時には激しい風刺画も描き、
そのために6ヵ月も牢屋に入れられたりしながら、
生涯石版画や水彩画、素描や油絵などを書き続けました。
常に庶民の立場から社会を見つめた画家です。
同時代のバルザックらに、共通する精神を感じます。
久しぶりに、見ると、その力強さ、精密さ、写真にはない写実に圧倒されます。
この本の表紙の文字は右から左へ書かれていますが、
中の解説は左から右への横書きです。
また今は見かけることも無くなった昔の文字や
古風な活字体が面白い。東京はまだ東京市です。
ドーミエは1808年に生まれ、1879年に亡くなっています。
この本が出版された1925年は、まだドーミエと同時代を生きた人がいた時代です。
そして私の父が生まれた年です。
そうやって人が重なり、時代が重なって時は過ぎていくのだな、
と思いながら絵を眺めています。