『ワンチャンス』(原題:One Chance)
監督:デヴィッド・フランケル
出演:ジェームズ・コーデン,アレクサンドラ・ローチ,マッケンジー・クルック,
ヴァレリア・ビレロ,コルム・ミーニイ,ジュリー・ウォルターズ他
またまたタイトなスケジュールではありますが、
終映時刻と上映開始時刻がかぶっていないだけ、マトモでしょ!?
『31年目の夫婦げんか』(2012)はイマイチだったけど、
『プラダを着た悪魔』(2006)と『ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して』(2010)は好きだったデヴィッド・フランケル監督。
本作は予告編からして良さそうだったイギリス/アメリカ作品です。
いじめられっ子のポールは歌だけが友だち。
その声量は圧倒的で、聖歌隊で歌っていたときには自分の声で鼓膜が破れてしまったほど。
歌えばいじめられ、いじめられては歌う毎日。
ポールは特にオペラが大好き。
母親はポールのオペラ好きを歓迎しているが、父親はオペラが大嫌い。
学生時代にラグビーの名選手として脚光を浴びながら今は製鉄工である父親は、
軟弱なポールのことが歯がゆくて仕方ないのだ。
そんなポールがネットで知り合った女性ジュルズ。
似ている有名人としてブラッド・ピットとキャメロン・ディアスを挙げていた2人、
そのじつ似ても似つかないが、メールを通して人となりを知り、
会った瞬間お互いの想像がまちがっていなかったこともわかり、恋に落ちる。
ヴェネツィアの音楽学校へ留学するのがポールのかねてからの夢だったが、留学するには金が足りず、
近所のケータイショップの店員に甘んじている。
ジュルズはポールに町で開催されるコンテストに出場するべきだと言う。
背中を押されて出場したコンテストで、嘲笑を押し黙らせるポールの歌声。
みごと優勝したポールは、賞金を得てイタリアへオペラ留学。
すべては上手く行くかに思えたが、憧れのパヴァロッティが来校する日、
極度の緊張から声が出なくなってしまう。
酷評されて失意のままイギリスへ帰国したポールはジュルズからの電話にも出られない。
しかし、彼女の大切さに気づいた彼は、ジュルズに会いに行き、プロポーズ。
やはり歌うことが好きだと、アマチュアのオペラ劇団に請われて所属するのだが……。
歌に関してはポール・ポッツ本人が吹替を担当、劇中で歌声を聴くことができます。
意地の悪い輩を除いて、登場人物がみんな魅力的。
特にジュリー・ウォルターズ演じるポールの母親は、
『LIFE!』のシャーリー・マクレーン演じる母親と並んで温かい。さすが名優。
気弱に見えるポールですが、結構な毒舌で、
ケータイショップのいい加減な店長との会話は実にテンポよく痛快。
ジュルズはちょっぴり太めだけどめちゃ可愛く、
完璧美女でも自己チューな『ドン・ジョン』のバーバラとはエライちがい。
あきらめなければ夢は叶う。
というのは、夢が叶った人のみが言うことなのでしょうけれども、
追いつづけた夢は叶ってほしい。